フィードバック・ノイズは鳴り止まない!
2000年代半ばに〈ニューゲイザー〉なるブームが起こってからすでに10年強。いまやその手の音は一過性の流行りではなく、スタンダードな手法としてすっかりシーンに定着しているが、それにしてもここ最近の隆盛には目を見張るものがある。とりわけシューゲイザー創成期の90年代初頭を彩ったバンドの復活は大きなトピックで、ラッシュが期間限定の再結成を果たしたかと思えば、スワーヴドライヴァーが17年ぶりにアルバム『I Wasn't Born To Lose You』をリリース。そして今年に入ってもジザメリはもちろん、5月にはスロウダイヴ、6月にはライドがそれぞれリユニオンして初の新作を控えているというのだから、快哉を叫ぶ以外ない。
こうしたUKを中心とするレジェンドたちの放った衝撃波が拡散していくなか、世界各地より続々と新世代のアーティストが登場しているのも頼もしい限り。ここではいわゆる〈エレクトロ・シューゲイザー〉と呼ばれるような宅録系を除き、オリジナル世代、あるいはバンド・サウンド重視な若手の最新作を紹介しよう。 *北爪啓之
三池崇史から名前を拝借した(ちょっと発音が違うけど……)LAのバンドによる初作。見た目も100点満点な女性ヴォーカルや、トロトロの幽玄な音世界に時折ガツッと骨太なノイズが割り込んでくる作りなど、『Spooky』期のラッシュと似た匂いがプンプンします。 *山西
スロウダイヴのレイチェル・ゴスウェルによる囁くような歌声を、エディターズやモグワイのメンバーが力強い演奏で支えていくスーパー・グループのお披露目盤。文字通りポスト・ロックとシューゲイザーが交錯したようなアンサンブルに、かつての4AD的な耽美性も加味。 *北爪
香港のユアーズやインドネシアのヒールズほかアジアン・シューゲ人気がじわじわきているなかで、特に飛躍を期待されている上海のバンドです。昨年末に日本でも流通開始したこのEPでは、ホワイト・ノイズをめいっぱい振りかけて90sへの憧れを表現。ジャケも完璧。 *山西
〈スロウダイヴの正統後継者〉と言われた処女作から3年、ドイツの3人組が放った2作目は、80年代風のゴス要素も加わって陰湿な雰囲気がますますアップ。この演奏に乗ると、エンジェリックな女声も病んでいるように聴こえたり……。 *山西
南アフリカ出身の青年によるソロ・ユニットの初作。冒頭からリヴァーブ過剰なキャンディー・ポップが飛び出し、かと思えばタテノリのリズムと自虐的な歌詞の対比がカッコイイ“Weird Guilt”で『Honey's Dead』っぽいムードを醸して……と、あちこちでジザメリ愛を確認できます。 *山西
数少ないUS生まれのオリジナル世代。2011年の編集盤『Oceanside 1991-1993』(リリース元はキャプチャード・トラックス!)で再評価され、それを追い風に登場した18年ぶりの本EPでは、前傾気味のグルーヴが効いたメロディアスな轟音インストを披露している。 *北爪
【ジーザス・アンド・メリー・チェイン『Damage And Joy』特集】
★Pt.1