スペインのサティ”とも言われるモンポウの音楽のスペシャリストとして有名な、熊本マリによる初のサティ録音集。短いピアノ作品で、小節線がなかったり、静謐的な叙情性を醸し出すモンポウの音楽は、個性は違えどもサティに一脈通じます。アラフォーになって厳格なスコラ・カントルムで対位法を学んだりもしたサティ、さらに先鋭化した感性によって紡がれた発想は伝統の和声を超えた響きに満ちていて愉しい。実際、数分で終わる小品というのは実験的で作曲家の霊感に満ちている事がおおい。文芸酒場のピアニスト時代のシャンソンも、情熱的な節回しが垣間見えるワルツ《金の粉》もオススメ。