カート・ヴァイルが元いたバンド……なんて説明はもはや不要。全米、いや、世界規模でのブレイクが期待される名ソングライター、アダム・グランデュシエルを中心としたウォー・オン・ドラッグスが、メジャーに移籍して3年ぶりに放った通算4作目。サイケデリックなフォーク・ロック――端的に言い表せばそうなるが、それだけだと本作の持つ〈これまで以上に攻めている感じ〉は伝わらない。楽器の編成は比較的オーソドックスなもの。しかし、まるでハレーションを起こしているかのような音像は他に類似品が見当たらない。歌、ギター、ピアノのフレーズひとつひとつからも、〈これを代表作にするぞ〉というメンバーたちの気迫が感じられる。全編を通じて長尺の曲が並んでいて、これでもか! と反復を重ねた演奏から浮かび上がるグルーヴが熱く、そこにノスタルジーが入り混じるところはアメリカのバンドならでは。このアルバムで彼らはウィルコと肩を並べるはずだ。