INTERVIEW

XAI『WHITE OUT』 歌と共に生きてきたシンデレラ。得難い声の持ち主が、BOOM BOOM SATELLITES中野の提供曲でデビュー!

  • Share on Tumblr
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2017.11.15
XAI『WHITE OUT』 歌と共に生きてきたシンデレラ。得難い声の持ち主が、BOOM BOOM SATELLITES中野の提供曲でデビュー!

歌と共に生きてきたシンデレラが、今、シンガーとしての暁を迎える──宇宙規模のスケール感を持つ神秘的な声は、最初の願いを持っていよいよ全国へ

〈歌〉は生きていくうえで大切なもの

 まるで、遥か彼方の惑星から時空を超えて響いてきているような、しなやかで神秘的な歌声。一聴して耳を奪われるその得難い声の持ち主は、昨年開催された〈第8回 東宝シンデレラ〉オーディションで初代〈アーティスト賞〉を獲得し、このたび劇場版アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」の主題歌“WHITE OUT”でデビューする女性シンガーのXAIだ。彼女は〈歌〉に対する思いをこう語る。

 「これまで中学・高校と過ごしてきたなか、私は人付き合いがあまり得意なほうではなかったので、自分のなかでいろいろと葛藤があって。そういうときにいつも自分を支えてくれたり、救ってくれたのが音楽だったんです。自分にとって、〈歌〉は生きていくうえで酸素を取り込むことと同じくらい大切なもの。だから〈いつのタイミングかわからないけど、いつか必ず歌手になる〉と思って過ごしてきました」。

 そもそもは両親が音楽好き。オペラを含むクラシックからサザンオールスターズなどの日本のポップスまで、常にさまざまな音楽が流れている家庭環境だったそうだが、なかでもXAIが好んだのは、母親がよく聴いていたというビヨンセ。さらにシーアもフェイヴァリットに挙げる。

 「ビヨンセはパワフルに聴かせる歌声が素敵だなと思って、憧れがありました。あと、シーアもすごく好きですね。彼女はもともとアルコール依存症だったところから立ち直っていて、歌詞や歌からそういう強いアイデンティティーみたいなものを感じる。そこが良いなって思います」。

 そんな彼女が〈直感〉で応募したというオーディション。そのためにみずからセレクトした楽曲は、アニメ「マクロスF」に登場するトップ・シンガー、シェリル・ノーム(劇中の歌唱パートはMay'nが担当)によるドラマティックなバラード“ダイアモンド クレバス”だった。

 「『マクロスF』は本当に好きな作品で。戦場が舞台で、みんなが命懸けで戦ってる。シェリル・ノームはその生と死の距離が近いところに出て行って歌うんですけど、中学・高校時代はシーアだけじゃなく、シェリルのそういう姿にも救われたので、自分もそういう歌手になりたいっていう思いが強くあります。だから、〈GODZILLA〉の主題歌として今回関わらせていただけたのも本当に光栄だし、嬉しくて。ハルオ君(主人公のハルオ・サカキ)もそうですけど、みんな、大切なもののために命を懸けて戦ってるじゃないですか。“WHITE OUT”は、自分もそこで一緒に戦っているような気持ちで歌わせていただきました」。

 

デビューにあたっての願い

 5曲にそれぞれのインストを加えたミニ・アルバムの〈アーティスト盤〉と、そのなかの2曲+インストから成るシングルの〈アニメ盤〉という2形態で届くXAIのデビュー作『WHITE OUT』。その表題曲のサウンド・プロデュースを手掛けたのは、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)だ。まずはXAIの声を聴いてもらい、そこからどういう歌/メロディーにするかを共に作り上げていったというこの曲は、コズミックな広がりを持つエレクトロ・ハウスを基調に、低音から高音まで滑らかに行き来する歌声が重層的に降り注ぐ、幻想的なナンバーに仕上がった。

XAI WHITE OUT TOHO animation(2015)

 「中野さんのスタジオに通ったのは、全体だと一週間ちょいぐらいかな? 私、自分の声では低音とか、ハスキーに歌ったときがいちばん好きなんですけど、それを最大限に活かしつつ、〈高音もこう歌ったら魅力的に聴こえると思うよ〉といったアドヴァイスをいただきながらレコーディングしていきました。中野さんは温かく迎えてくださったし、シビアな雰囲気というわけでもなかったんですけど、何もかもが初めてだったので、すごく緊張しましたね(笑)。歌ってるときは毎秒毎秒、試されるじゃないですか。そういう面ですごく鍛えていただいたし、そうやって長い時間を割いてくださったのはホントにありがたくて、自分にとってすごく大切な時間になりました」。

 その歌に言葉を当てたのは、昨秋以降、やはり中野とのタッグ作を連発しているねごとの蒼山幸子。宇宙の果てから救済の手を差し伸べるようなリリックは、サウンドの持つスケール感をイマジナティヴに拡張する。

 「蒼山さんも作詞の段階に入ったときに何日間かスタジオに来てくださって。私の歌声を聴いて、宛て書きというか、私がどういう言葉を発したときに素敵な響きになるのかを考えながら書いてくださったんです。出来上がったものを聴いてみると、歌手としてデビューさせていただくにあたって自分自身の願いとしてあったように、絶対に誰かの力になるし、寄り添えるような曲になったと思います。だから、すごく嬉しい。〈GODZILLA〉の映画を観たあとは結構ズシンとくるものがあると思うんですけど、そういう方々の胸にも響く曲だと思います」。

 

想像できない可能性

 さらに、〈アーティスト盤〉には中野と蒼山のほかにも豪華なミュージシャンが作家として参加している。“WHITE OUT”のダンサブルな曲調を引き継ぐ2曲目、3曲目は、それぞれTeddyLoidが作詞・作曲・編曲を担当した“Feeling Alive”と、佐藤大が作詞を、牛尾憲輔(agraph)が作/編曲を受け持った“Somewhere in Night”。柔和ながら開放的な昂揚感をもたらす前者と官能的な熱を帯びる後者、表情の異なるハウシーなナンバーが並ぶ。

 「“Feeling Alive”はアルバムの中でもいちばん光が強いというか、明るい曲だなと思ったので、気負わずに、楽しむような気持ちで歌いました。“Somewhere in Night”のほうはレコーディングのときに牛尾さんが来てくださって、曲の背景を詳細に……だいぶ前のめりに(笑)お話いただいて。牛尾さんが今の私と同じ19歳のときにYellowっていうクラブに初めて行ったときの気持ち、そこで感じたことを代弁したというか、追体験するように表現しました。牛尾さんは、二十歳になったその週末にすぐクラブに行ったっていうぐらい憧れがあったとおっしゃってて。そういう話を聞いて、私もそういう場所に憧れがあるけど、ちょっと大人ぶってみたりとか、そういう気持ちを想像しながら歌いました」。

 そのような牛尾とのやり取りのなかで、XAIはリスナーとしての成果も得たようだ。

 「触れてきた音楽とか、牛尾さんは共感度が高いなって個人的に思ってて。私、ドビュッシーがすごく好きなんですけど、〈そういう音楽が好みだったら好きだと思うよ〉ってスティーヴ・ライヒを教えていただいたり。ミニマル音楽にはもともと興味があったんですけど、例えば“Violin Phase”のPVを観ると、ずっと同じメロディーだったものが徐々に変化していくなかで、くるくる回っている女性の息遣いとか、スカートがシュッて鳴る音とか、そういう音も音楽の一部になっている感じが好きだなあって。機会があれば、そういうお話をもっと聞きたいですね。レコーディングはすごくスパルタでしたけど(笑)」。

 そうしたエレクトロニックな楽曲のあとに続くのは、ミト(クラムボン)製の性急なピアノ・ロック“SILENT BIRD”。「ガンガン歌うような曲は自分的には挑戦だった」とXAIは振り返るが、そんなアグレッシヴな同曲を受けてエンディングを飾るのは、まさに今のXAIそのものが託されたフェミニンなバラード“はじまりのうた”だ。

 「私はバラードがすごく好きなので、〈きたきた!〉って(笑)。歌詞も自分の実体験に重なるところがあるというか、例えば〈始まるんだ〉っていうところは自分もホントにここでデビューなので、これからアーティストとしてやっていく、そういう自分の気持ちにシンクロするところがありました。この曲に関しては、どういう表現をしようというよりも素のままで、独り言をつぶやくように歌ってます」。

 こうして完成した『WHITE OUT』。その表題曲が初めて全国の映画館で響き渡る日――劇場版アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」の公開日となる11月17日は、奇しくも自身の二十歳の誕生日。陸・海・空が美しいグラーデションを描く様を捉えたヴィジュアルのように、今、彼女はシンガー・XAIとしての暁を迎える。

 「この写真はウラジオストクで撮影したんですけど、海の色が独特なんです。そこに〈朝〉が重なっていく色合いがすごく綺麗で、その風景に特別なものを感じて。これから歌手として生きていくという、自分の中の目覚めのようなものを感じた瞬間でもあります。私のアーティスト・ネームには〈X〉が入っていて、ゴジラもそうですけど、Xって〈未確認生命体〉のような意味合いもあるじゃないですか。そんなふうに、自分でも想像できないような可能性を感じながら、今後もいろいろな音楽に挑戦していきたいです」。

文中に登場したアーティストの作品。

 

『WHITE OUT』に参加したアーティストの作品。

 


予想外の新たな進化――劇場アニメ「GODZILLA 怪獣惑星」

 庵野秀明が脚本・編集・総監督を務めた「シン・ゴジラ」のヒットも記憶に新しい人気シリーズ〈ゴジラ〉が、初の劇場アニメ化。3部作の第1章にあたる本作では、巨大生物・怪獣と、その怪獣をも駆逐する究極の存在・ゴジラによって地球を追われ、別の惑星への移住を決断した人類が、ふたたび地球の奪還をめざす。

監督/静野孔文、瀬下寛之
ストーリー原案・脚本/虚淵玄
音楽/服部隆之
制作/ポリゴン・ピクチュアズ
声の出演/宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔 、三宅健太、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、ほか
2017年11月17日より全国ロードショー(配給/東宝映像事業部)