INTERVIEW

ミツメ“エスパー”〈ポップス〉という型への挑戦と〈らしさ〉が共存するニュー・シングル

ミツメ“エスパー”〈ポップス〉という型への挑戦と〈らしさ〉が共存するニュー・シングル

これまでと異なるアプローチを模索した結果、辿り着いたのは〈ポップス〉という型への挑戦。同時に〈らしさ〉も見つめ直した4人はまだまだ進化の途中!

 強烈な個性がひしめき合う東京のインディー・シーンで、マイペースに進化を遂げてきた4人組、ミツメ。2016年にリリースされた『A Long Day』は、アルバム一枚がひとつの楽曲のような大きな流れを持った構成にバンドの新境地を感じさせたが、そんな彼らの新たな挑戦となったのが今回のニュー・シングル“エスパー”だ。彼らはこれまでに4曲入りEPはリリースしてきたものの、シングルは初めて。その経緯をこんなふうに振り返ってくれた。

ミツメ エスパー mitsume(2017)

 「〈シングルを出す〉っていうのは、周りのスタッフからの提案だったんです。自分たちだけでは2曲だけのシングルを出そうとは考えなかったかもしれません。メンバーでじっくり話をして〈一度やってみよう〉ってことになりました。でも、EPのときと曲に対する向き合い方は大きく違いましたね」(須田洋次郎、ドラムス)。

 そして「『A Long Day』のサウンドを発展させつつ、ミツメのエッセンスを凝縮したような曲」をイメージしてデモを作り上げたのが“エスパー”……ではなく、同時収録曲の“青い月”だった。

 「この曲を聴いたスタッフから〈いつものミツメの良さはあるけど、違うアプローチの曲も作ってみない?〉って提案されたんです。そこで、〈じゃあ、自分たちがポップだなって思えるものを素直に出してみよう〉と。これまでは〈ポップス〉という型にはまらないものを作ろうと思ってきたんですけど、そういう考えもひとつの型にはまっているんじゃないかと思って。それで出来上がったのが“エスパー”でした」(川辺素、ヴォーカル/ギター)。

 あえてドラマティックな展開は避け、ミニマルな構成で微妙な温度感や質感を表現することによって独自のスタイルを生み出してきたミツメ。しかし、“エスパー”はこれまでよりも節回しが多く、サビもしっかり用意されている。サウンド面ではシンセの煌びやかな音色を散りばめたふくよかな音響空間を作り上げていて、その浮遊感も心地良い。

 「ギターは歌の背景になるようなイメージで鳴らしました。アームを使って音を揺らすことで、ドリーミーな雰囲気もありつつ気持ち悪い質感を出そうと。ただ、ギターだけだと少し地味な感じがしたので、シンセとかトライアングルも入れてみたんです」(大竹雅生、ギター)。

 「メロディーに華があって、ウワモノも煌びやか。そこでドラムがどういう立ち位置でいたらいいのかを考えるなかで、極力、音を削ぎ落したビートが自分たちらしいということに気が付いたんです。リズムがミツメらしいことでギャップが生まれておもしろいんじゃないかと思って」(須田)。

 そして、ヴォーカルにも注目。「これまでは、直前まで歌詞を変えたりして、なんとか必死でやっている感じだった」という川辺。しかし、今回は「しっかり準備して、狙ったところまでヴォーカルを仕上げてから歌入れをした」らしい。その結果、「今まででいちばん満足のいくテイクが録れました」と胸を張る。ちなみに最初のパートのメロディーの音が外れているように聴こえるのは、ループするメロディーに起伏を付けるための演出。メンバーも一瞬、〈あれ?〉と思ったそうだが、川辺は「ワザです」と微笑んだ。

 一方、“青い月”は先に述べた通りにミツメらしさを追求した曲。しかし、完成までの工程は“エスパー”よりも苦戦したらしい。

 「4ヴァージョンくらいアレンジを作ったんです。そうやって試行錯誤するなかで、さらにミツメらしくなっていきました。どんどん音数が少なくなっていくというか……」(大竹)。

 「煮込みすぎて(音が)蒸発してしまうっていう(笑)」(川辺)。

 新しいチャレンジをしながら、自分たちらしさを見つめ直すことにもなった本作。今回のレコーディングはバンドにとって大きな刺激になったようだ。

 「いつものようにメンバー4人だけで作っていたら、そのうちに〈こんな感じの曲も入れよう〉とか言って、結局いつも通り、4曲入りのEPになっていたかもしれない。今回、信頼できるスタッフが貴重な意見をくれたからこそ、新しい挑戦ができた。自分たちらしさを新しい形で表現することができたと思います」(須田)。

 バンドに新しい風を吹き込んだシングル“エスパー”は、この先に向かう決意に満ちた一歩だ。まだまだミツメはおもしろくなる。

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