ニュー・グラス・リヴァイヴァルやフレックトーンズでブルーグラスの発展と拡張に尽力してきたバンジョー・ヴィルトゥオーゾが盟友チック・コリアとの共演、息子に捧げたオーケストラ作品を挟んで3年ぶりの愛妻とのデュオ作。フォークロアとしての趣向が強く前作もフォーク部門でグラミーを勝ち取った程。靄がかかったような吐息混じりのアビゲイルの歌唱は時に儚く、時に凛とし、二本のバンジョーが卓越した技術を用いつつもまるで蔦の様に味わいを絡め添えていく。古き良きアパラチアン・トラッドを再現しているようで、よくよく聞くとリズムや音響に現代的な意匠が施され、密かな驚きに満ちている。