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MGMT『Little Dark Age』 デビュー時の明快さを取り戻したサウンドと共に、世知辛い時代を踊って乗り切ろう

MGMT『Little Dark Age』 デビュー時の明快さを取り戻したサウンドと共に、世知辛い時代を踊って乗り切ろう

Kids Are Alright?
みんな、お待たせ! 数多のフォロワーを生んだデビュー・アルバムから約10年、しばらくの休止期間を経て、MGMTが〈あの頃〉の輝きを取り戻したよ! カラフルなシンセのループが導く魔法の音世界――日常の嫌なことを忘れて今日は2人と踊り明かそう!

MGMT Little Dark Age Columbia/ソニー(2018)

 

デビュー時の明快さがふたたび!

 ようやく時代が一周した、と言うべきか。テクニカラーなシンセ使いと激キャッチーなメロディーを武器にMGMTが颯爽とデビューしたのは2007年。彼らのファースト・アルバム『Oracular Spectacle』がインディー・シーンはもとより、業界全体に多大な影響を与えたことは衆知の通りだろう。しかし、2010年の2作目『Congratulations』、2013年の3作目『MGMT』と作品を発表するたびに明快さは影を潜め、時流も影響してモヤモヤしたオブスキュアな方向性へシフト。ファンもモヤモヤさせられていたわけだが、5年ぶりのニュー・アルバム『Little Dark Age』では、ひた隠しにしてきたポップ性を再度ローンチ。全開状態へとリセットしてくれた。

 初作からの付き合いとなるマーキュリー・レヴのデイヴ・フリッドマンがトリッピーな極彩カラーを受け持った一方、ブルックリン出身の同朋であるチェアリフトのパトリック・ウィンバリーもプロデューサーとして新たに参入し、大胆明瞭なポップセンスが復活。アリエル・ピンク、コナン・モカシン、はたまた笑い声を披露するエロ教祖セバスチャン・テリエら曲者ゲストの協力も得て、待ち望まれた原点回帰を遂行している。やっと登場したセカンド・アルバムという見方もできそうだ。 *村上ひさし

 

ダーク・エイジを生き抜くための方法

 やはりと言うべきか、USインディー・シーンもドナルド・トランプ大統領に批判的な空気が色濃い。デス・キャブ・フォー・キューティはアンチ・ソング“Million Dollar Loan”を発表し、反トランプを掲げたコンピ『Our First 100 Days』にはトロ・イ・モワやエンジェル・オルセンらが参加するなど、枚挙に暇がないほどだ。

 そうした空気は、活動を再開したMGMTの5年ぶりとなるニュー・アルバム『Little Dark Age』にも表れている。アリエル・ピンクやコナン・モカシンほか、多くのゲストを迎えて作られた本作は、タイトル通りダークなトーンが際立っている。死をモチーフにした“When You Die”をはじめ、随所でネガティヴな感情がちらつき、遠回しながら政権を危惧するようなワードも。一方で、デビュー作『Oracular Spectacle』(2007年)を彷彿とさせるエレポップ“Me And Michael”など、煌めきに満ちた楽曲もある。おまけにオープニング・トラックでは、〈楽しみましょう!〉と歌っているのだからおもしろい。そんな相反する思いが共立したこの作品、世知辛い時代でも開き直って乗り切るしかないという姿勢が印象的だ。 *近藤真弥

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