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雅楽演奏グループ伶楽舎が七夕の夜に奏でる〈今昔雅楽集〉水戸芸術館で出会う雅楽の“今”と“昔”

雅楽演奏グループ伶楽舎が七夕の夜に奏でる〈今昔雅楽集〉水戸芸術館で出会う雅楽の“今”と“昔”

今昔雅楽集  七夕の宴
Gagaku – Japanese Court Music – from Times Past: Feast of the Seventh Night of the Seventh Moon

 伝説によれば、七夕は天の川で隔てられていた牽牛と織女が年に一度の逢瀬を楽しむ日だ。伝説の本家中国では織女が牽牛のもとにやってくるが、日本では牽牛が織女のもとを訪れる。いずれにせよ、幸せにかまけて神様との約束を破ったために離れ離れにされた二人が許されて出逢う幸せな夜であることにちがいはない。それはさておき、この夏、水戸芸術館コンサートホールATMの〈今昔雅楽集 七夕の宴〉において出逢うのは〈雅楽の“今”と“昔”〉である。

 出演は雅楽演奏グループの伶楽舎。伶楽舎といえば、音楽監督の芝祐靖の昨年の文化勲章受章が記憶に新しい。雅楽関係者の同賞受賞は史上初である。伶人の家に生まれた彼は、少年時代から雅楽を空気のように吸って育った。そして宮内庁楽部で伝統の継承につとめた後、1984年に楽部を辞め、翌年に伶楽舎を創設。宮内庁楽部時代から新作に取り組んできたのをはじめ、廃絶曲や正倉院の楽器の復刻に関わり、親子で楽しめるワークショップを行なうなど、活動は多岐にわたる。

 なにしろ芝祐靖は武満徹の作曲した雅楽《秋庭歌》を演奏したい一心で、宮内庁の楽部を辞めて伶楽舎をはじめたという人だ。雅楽の世界にも近年少しずつ変化の兆しが見られるが、その先鞭をつけた重要人物の一人なのである。

 〈今昔雅楽集 七夕の宴〉の予定演目を見ると、前半の「舞台乱舞」は平安時代の宮廷で貴族たちが楽しんでいたであろう歌や舞の宴を復曲も含めて構成するもの。そこに含まれる《二星》は、漢詩に節をつけてうたう朗詠という歌ものの曲で、タイトルは牽牛と織女にちなむ。現存する朗詠作品では唯一七夕を題材にした曲だ。蛇足ながら松平頼則がこの曲に触発されて《二星》や《朗詠風な幻想(七夕)》を作ったことも現代音楽のファンには知られている。

宮田まゆみ

 後半は80年代に復曲した平安時代の「曹娘褌脱」の再演、正倉院宝物から復刻された竽(大型の笙、いわばピリオド楽器)による新曲を、ジョン・ケージ、細川俊夫、ヘルムート・ラッヘンマンら現代音楽の作曲家からも引く手あまたの宮田まゆみが演奏。そして、くだんの十八番《秋庭歌》が登場する。まさに〈雅楽の“今”と“昔”〉をテーマにしたコンサートらしい。

 平安時代の雅楽は現代とちがってもっとスピードが速かったという説があるが、さてこの日はどのように演奏されるのだろう。伶楽舎はふだんのコンサートでは、決まった舞台にすわって厳かに演奏するだけでなく、楽しい練り歩きの伎楽なども上演してきたグループなので、演出の趣向のほうも楽しみだ。

 


LIVE INFORMATION

今昔雅楽集 七夕の宴
○7月7日(土) 16:30開場 16:45プレトーク 17:00開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
出演:伶楽舎
演目:芝 祐靖 復曲・構成:露台乱舞(ろだいらんぶ)
   芝 祐靖 復曲:曹娘褌脱(そうろうこだつ)より正倉院復元楽器版
   宮田まゆみ:滄海(うみ)正倉院復元楽器・竽 独奏:宮田まゆみ
   武満 徹:秋庭歌(しゅうていが)

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