INTERVIEW

THE BEATNIKS『EXITENTIALIST A XIE XIE』 出口をずっと探している —出口主義者たちの本能的セッションは続く

THE BEATNIKS『EXITENTIALIST A XIE XIE』 出口をずっと探している —出口主義者たちの本能的セッションは続く

出口をずっと探している――出口主義者たちの本能的セッションは続く

 「だからさ、出口だと思ったらまた入り口だった、という人生を繰り返しているわけ。出たと思えばまた入る。でもずっとそれをテーマにしているユニットって他にはいないだろうし、ましてや7年もアルバムを作っていないという。その間にいろんなレコード会社に拾っていただいて」(高橋幸宏)

THE BEATNIKS EXITENTIALIST A XIE XIE BETTER DAYS/コロムビア(2018)

 復活した名レーベルBETTER DAYSから7年ぶりにリリースされたザ・ビートニクスの新作『EXITENTIALIST A XIE XIE』から見えてくるのは、堂々巡りを繰り返しながらめくるめく恍惚感を追い求める出口主義者たちの七転八倒劇だ。それにしても〈赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学音楽祭〉に出演するため作った“シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya”の存在感が異様で素晴らしい。洒落っ気十分ながら心はシリアスといった「幕末太陽傳」の居残り佐平次的な足取りをみせるこの曲に込めたのは「まだ生き続けて、音楽を作るぞ」という思いだったと鈴木慶一が言う。リー・ドーシーの“Ya Ya”をレパートリーにしていたムッシュかまやつにオマージュを込めつつ、ビーチ・ボーイズやトニー谷などさまざまなエッセンスが放り込まれており、何曲分も聴いたような満腹感を与えてくれる。

 「最初これともう1曲だけ録ってあとは間が空いてるんだけど、間に録った曲を忘れちゃってるんだ。でもアルバムはヴァラエティに富んでるよね。一気に集中して作ったらこういう開放感のある作品はできなかったかもしれない。あと引用をやめようって時期もあったけど、今回はどんどん入れていこうって。音楽に対しての〈謝謝〉だからさ。でもこのテイストはいままでにないもんね」(鈴木)「相当軽く作ったつもりだったけど、ぜんぜん歌詞が軽くない。あと〈DA DA DA〉は入れなきゃよかったかなって。ポリスになっちゃうから(笑)」(高橋)「〈DA DA〉は入れたかったんだよ」(鈴木)「いっぱい音楽があったおかげで僕たち生きていられる。もし音楽がなかったらいったい何してたんだろうなって思う。だから音楽にありがとうって気持ちがある」(高橋)

 マニアックな細部にもついつい目が行ってしまう。例えばビートニクス流ハイ・サウンドの“ほどよい大きさの漁師の島”とか。

 「でもアル・ジャクソンの感じでいこうと決めたら、レコードから聴こえるミスタッチの音まで再現しようとしてるんだもん(笑)」(鈴木)「“Let's Stay Together”(アル・グリーン)に出てくるんですよ、カン!って音が。タムを叩きたかったんだけど、たぶんリムだけに当たっちゃったんだろうなって思われる音をずっと昔から練習していて。スティーヴ・ジョーダンもそこまではやらないだろう(笑)」(高橋)

 小山田圭吾やLEO今井といった気心知れたゲストが多数参加しているのも本作の特徴で、バンド感満点な演奏が随所で楽しめるのが肝。武骨でエモーショナルな演奏に彩られたニール・ヤングのカヴァー“I’ve Been Waiting For You”などを聴くと、そうだ、ビートニクスがよみがえるのは社会や現状に対してふたりが怒りを覚えたときだった、ってことをふと思い出したりも。「いま怒っていない人がいたとしたら信じられないね。ただ政治的な発言はしないが、音楽は作るぞ」と慶一さん。怒りを込めて入り口をふり返りながら、出口に向ってとめどなく音楽を撃ち続けるビートニクスの本領発揮的快作と言えよう。そんなビートニクスが見つめる未来とは?

 「感覚的なことだけど、未来の見通しは明るくはないね」(鈴木)「自分らのことに限らずね。僕たちは子供がいないけど、もしいたならば音楽の作り方もまた変わっちゃうと思うんだよね。僕らはいま絶望的なことをそのまんま歌えるから。とにかく出口をずっと探していることが希望なんだ。それに〈シェーシェー〉と口にした限り、この先も続けていかないとね」(高橋)「いくつに何するって設計はもうしない。これぞビートニクだよね。だから解散もない。ビートに解散はないんだ」(鈴木)

 僕らもひとまず〈Xie Xie〉からはじめよう。

 


ザ・ビートニクス (THE BEATNIKS)
1981年結成。当時〈YMO〉のメンバーで、現在〈METAFIVE〉で活動する高橋幸宏と〈ムーンライダーズ〉のヴォーカルであり音楽プロデューサーや、北野武作品「アウトレイジ」シリーズなどの映画音楽家としても活躍する鈴木慶一によるユニット。オリジナル・アルバムの他、世界的ファッション・デザイナー山本耀司のパリ・コレクション用として制作された音楽集なども発表している。

 


LIVE INFORMATION

アルバム発売に併せておよそ7年ぶりのワンマンライヴが決定!
○5月11日(金) 19:30会場
会場:EX THEATER ROPPONGI

SUMMER SONIC 2018
○8月18日(土)~19日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
○THE BEATNIKS 出演 8月18日(土) Billboad JAPAN Stage
www.thebeatniks.jp/

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