2018.05.11

高橋幸宏と鈴木慶一が81年に結成したTHE BEATNIKS。〈自分たちをとりまく社会やそのあり方などに怒りを感じたとき〉に活動する、というのがこのバンドの始動条件で、本作『EXITENTIALIST A XIE XIE』は2011年の『LAST TRAIN TO EXITOWN』以来、約7年ぶりの作品となる。では、今回の〈怒り〉とはなんなのか。intoxicateのインタヴューで鈴木は「いま怒っていない人がいたとしたら信じられないね。ただ政治的な発言はしないが、音楽は作るぞ」としか語っていない。まあ、〈怒り〉の要因はいくらでも挙げられるだろう。

高橋と鈴木の〈ツーマン・ユニット〉だったTHE BEATNIKSだが、本作にはゴンドウトモヒコ、砂原良徳、小山田圭吾、LEO今井らMETAFIVEのメンバーを中心に多数のゲストが参加。それゆえか、いつになく風通しの良いサウンドとなっている。METAFIVEよりはソウルフルなグルーヴがあり、SKETCH SHOWのようなエレクトロニクスでの実験があり、鈴木慶一の〈ヘイト船長三部作〉以降の緩いユーモアといぶし銀のダンディズムがある――本作を聴いていると、まるで高橋と鈴木の21世紀におけるキャリアの集大成であるかのようにも感じられるし、さらにその先を暗示する、現在のところの報告書というようにも感じられる。

幕の内弁当のようにオマージュてんこ盛りのテクノ・ポップ、“シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya”の奇妙に捻じ曲がった批評性と諧謔こそTHE BEATNIKSの真骨頂だろう。セクシーで、笑えて、鋭い切れ味を持った、円熟のロック・ミュージック。THE BEATNIKSこそ現代のアダルト・オリエンテッド・ロックだ。いや、〈出口〉という〈別の選択肢〉を探し続けるその姿は、〈オルタナティヴ・アダルト・オリエンテッド・ロック〉か?

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