あるようで実はなかったパット・メセニーのディスコグラフィー本。本人のリーダー・アルバムはもちろんサントラや参加作なども網羅されたコンプリートなガイド本だ。ジャズの歴史のなかで、パット・メセニーは他の誰とも違う独自の音楽性でステイタスを築いており、ハードバップのような音楽はやってきていないし、エレクトリック・サウンドを導入しているからといってフュージョンと短絡的に呼べる音楽でもない。そこが人気の秘密だ。本書は各アルバムごとに、収録楽曲を追った詳細な解説があり、筆者が初めて聴いたときのインプレッションや音楽理論的な考察なども作品の理解に深みを与えてくれる。