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【ろっくおん!】第64回 シャーリー・マンソンのカリスマ性が爆発したガービッジの2作目『Version 2.0』。そのリリース20周年を祝おう!

ロック好きの大学生が集まって放課後タイムにダラダラおしゃべり! 専攻科目よりも皆さんロック史の研究に夢中なようですね!!

 降り続いていた雨もすっかり上がり、新緑の合間から柔らかな陽光がこぼれるある日の午後。ここはT大学キャンパスの外れに佇むロック史研究会、通称〈ロッ研〉の部室であります。

【今月のレポート盤】

GARBAGE Version 2.0: 20th Anniversary Edition Mushroom/Stun Volume/HOSTESS(2018)

 

三崎ハナ「ねえねえ、こうして3人でアイスティーを飲みながらお喋りするのって、何だか女子会みたいで楽しいね!」

鶴見智奈子「各学年の代表部員が出席した臨時会合のようですよ」

三崎「もっと女子力を上げていこうよ!ま あ、一応ハナも会長だし、たまにはミーティングっぽいことでもしようか? テーマはこれね!」

鶴見「ガービッジの2作目『Version 2.0』の20周年記念盤ですね。良い議題だと思います」

天空海音「全世界で400万枚以上のヒットを記録した、私と同じ98年生まれの作品でござるよ」

三崎「今回のリイシューでは最新リマスタリングに加え、ボーナス・ディスクにシングルB面曲や未発表音源を10曲も収録しているんだよ! 胸が高まるね!」

天空「そういえば、2015年にデビュー作『Garbage』の20周年エディションが登場した際も、豪華な装丁が賞賛されていたでござる」

鶴見「より深く検証するために、とりあえず聴いてみましょうか」

三崎「(しばらく聴いて)やっぱり紅一点シャーリー・マンソンの力強くも陰りのあるヴォーカルが最高だよね~!」

鶴見「3人の米国人男性に対して、彼女だけスコットランド出身というのが興味深いですよね。USオルタナの乾いたテイストのなかに、UKっぽいウェットな陰影を感じさせるのがガービッジの魅力です」

天空「そもそも95年のデビュー時は、ニルヴァーナやソニック・ユースをプロデュースして時の人となっていたブッチ・ヴィグのリーダー・バンド、という印象が強かったようでござるね。なので、いきなり大ブレイクしたのも当然でござる」

鶴見「それがこの2作目では、ヴィグのキャリア云々を抜きに4ピース・バンドとしての個性がしっかり認知された感じですよね。とりわけシャーリーのカリスマ性が存分に発揮されたからこそ、前作を上回る成功を収めたのだと思います」

三崎「彼女のファンを公言する同業者って本当に多いよね! ラナ・デル・レイやケイティ・ペリーをはじめ、スカイラー・グレイにウルフ・アリスのエリー・ロウゼル、レディ・ガガもアヴリル・ラヴィーンもそう!」

鶴見「でも考えてみると、バンドとしてガービッジに強く影響されたような音を鳴らしている人たちって、意外と思い当たりませんね」

天空「まあ、エレクトロニックなビートにノイジーなギターを乗せたスタイルは、今も昔もさほど目新しくないでござるからな」

三崎「革新性をそこまで重視しなかったからこそ、逆にいつ聴いてもあまり古びた感じがしない、とも言えるよね」

天空「いままではビッグ・ビートやエレクトロニカなどを咀嚼したロック・サウンドだと認識していたでござるが、改めて聴くと結構ニューウェイヴっぽいでござるね」

三崎「確かに! 〈ニュー・オーダー化したプリテンダーズ〉って感じ?」

鶴見「今回のリイシュー盤にもシーズやビッグ・スターら先輩バンドのカヴァーが追加されている通り、ガービッジは過去の音楽に対するリスペクトを常に内包してきたグループだと思います」

天空「ニューウェイヴ・リヴァイヴァル的な動きは2000年代に入って盛り上がるわけで、90年代後半は80s風のサウンドがまだ軽視されていたフシもあるので、ある意味、彼らには先見の明があったのでござるな」

鶴見「こうして発表から20年後に聴くと、新たな発見や気付きもあって勉強になりますね」

三崎「うんうん。〈第1回ロッ研ガールズ・ミーティング〉としては上々の成果かな。じゃあ、そろそろパンケーキでも食べに行こうか?」

天空「牛丼ならば付き合うでござる」

鶴見「私は会合の議事録を作成するのでお構いなく」

三崎「……」

 ハナが憧れる女子会には程遠いようですが、何しろロッ研の部員たちですからね。ゆめゆめお忘れなく。 【つづく】

 

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