INTERVIEW

MONO NO AWARE『AHA』 ストレンジ&ユーモラスな〈らしさ〉はそのままに、よりスケール感をアップさせた新作を4人が語る

MONO NO AWARE『AHA』 ストレンジ&ユーモラスな〈らしさ〉はそのままに、よりスケール感をアップさせた新作を4人が語る

 昨年3月に初作『人生、山おり谷おり』を発表後、〈フジロック〉から盟友Tempalay、ドミコとの中国ツアーまで、国内外のさまざまな場所においてライヴを繰り広げてきたMONO NO AWARE。新作『AHA』は、ジャンルを横断した耳触りでありつつ、一曲のなかでコードも展開も次々に変わるストレンジなアレンジと、ユーモラスな言語感覚による独自の日本語詞をさらに進化させた、骨太な仕上がりとなっている。

MONO NO AWARE AHA SPACE SHOWER(2018)

 「前の作品はずっとライヴでやってきた曲をまとめた感じだったけど、〈アルバム〉に向けて曲を作っていくのは今回が初めてで、今できることを短期間でやり切ったなって。でも、〈間に合わせなきゃ〉みたいな感じじゃなくて、楽しみながら作れたのでよかったです」(竹田綾子)。

 「(加藤)成順が〈次のアルバムはスケール感をアップさせたい〉って話をしていたのが念頭にあったので、大きいステージで掻き鳴らしてもおかしくないようなギター・リフとか、野太いベースとか、そういうものがヴィジョンとしてありました」(玉置周啓)。

 「歌詞もより広く届くようなものになったというか、メッセージ性が強くなったと思います。前回は言葉遊びっぽい歌詞が多かったけど、周啓の詞の魅力はそこだけじゃないと思っていたので、一番届きやすい形になったなって」(加藤)。

 1曲目を飾るのは、これまでの日本のロック史において数々の名曲に冠されてきた“東京”というタイトルの楽曲。玉置が故郷の八丈島に対する想いを綴った曲であり、〈ふるさとは帰る場所ではないんだよ〉というフレーズが特に印象的だ。

 「もともとはシティー・ポップ全盛だった大学生のときに作った曲で、そのときからサビに〈東京〉って入ってたんですけど、MONO NO AWAREでガラッとアレンジを変えてやってみたら、いつの間にか故郷の歌になってたんです。坂口安吾の本に〈私たちは故郷に帰るのが仕事ではない〉っていう文章があって、僕も〈感傷に浸って立ち止まる〉みたいなのは好きじゃないから、ここでは故郷をテーマにしながらむしろ〈感傷から抜け出る〉っていうことを書きたかった。〈場所〉そのものじゃなくて、〈そこにいる人〉に故郷を感じるんだと思うと、東京も故郷になり得るのかなって」(玉置)。

 サウンド面に目を向けると、本作のエンジニアを務めたのは近年D.A.N.ら若手バンドに引っ張りだこの葛西敏彦。シンセやサンプリング・パッドを用いた“そういう日もある”や、間奏でエクスペリメンタルな展開に突入する“窓”などで、プロダクションの強化に大きな貢献を果たしている。

 「D.A.N.のレコーディングはただ録るだけじゃなくて、一緒になって音を作ってるっていう話を聞いて、そういう相互関係でできる人がいいなって思ったんです。第三者の意見が入って、客観的に曲を見ることで、もっとイメージを広げられるんじゃないかなって」(柳澤豊)。

 「“そういう日もある”は葛西さんからミニローグを借りて作りました。イメージとしてはダフト・パンクなんですけど、あんまり詳しくないジャンルを〈それっぽい〉くらいの感覚で作るのが僕は楽しいんです。“窓”はデモに金属音みたいな音を入れてたんですけど、いざその音を録るってなったら、葛西さんの目の色が変わってましたね(笑)」(玉置)。

 ラストを締め括るのは“センチメンタル・ジャーニー”。MONO NO AWAREの楽曲の中でもとりわけストレートで、玉置の歌心が真っ直ぐ伝わる一曲であり、“東京”ともリンクする歌詞が、バンドの現在地を確かに示している。

 「ローレンス・スターンっていうイギリスの作家が、『センチメンタル・ジャーニー』っていう紀行文の中で、〈人が旅に出る理由はふたつしかない。身体的虚弱か、精神的虚弱か、どちらかだ〉って書いてたのが頭に残ってたのと、親しい友人が自殺したことが重なって、自分の死生観が出た曲になりました。最後の〈その時はいずれ来る気がした〉っていうのは、〈こんな世界から今すぐ飛び出したい〉ではなく、〈いずれそうなるなら、今はここでできることをしよう〉っていうこと。そんな今のモードが結果的に出たんだと思います」(玉置)。  

 


MONO NO AWARE
玉置周啓(ギター/ヴォーカル)、加藤成順(ギター)、竹田綾子(ベース)、柳澤豊(ドラムス)から成る4人組。2013年に結成し、2015年より現体制へ。2016年の〈ROOKIE A GO-GO〉、2017年の〈RED MARQUEE〉と2年連続で〈フジロック〉に出演。その他にも〈VIVA LA ROCK〉〈BAYCAMP〉といったフェスへ参加し、クリブスやフェザーデイズら海外アーティストのサポート・アクトも務める。2017年はファースト・アルバム『人生、山おり谷おり』も発表し、配信限定で送り出されたペトロールズのカヴァー集の続編『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?? - EP』に“インサイダー”を提供。このたび、ニュー・アルバム『AHA』(SPACE SHOWER)を8月1日にリリースする。

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