(左から)Takahashi 993(ベース)、大橋想(ドラムス)、鈴木雄三(ギター/キーボード)、飯島梢(ヴォーカル/シンセサイザー)、久保田敦(ギター)
 

東京を中心に活動するバンド、路地から2枚目のアルバム『これからもここから』が届いた。前作『窓におきてがみ』から約2年ぶりの作品となり、その間にはメンバーの脱退によって活動休止を余儀なくされ、バンド存続が危ぶまれた時期もあった。が、一念発起して現在の5人組の新体制となり再始動したのが2017年5月のこと。同年、メンバーが目標としていたという〈りんご音楽祭〉への出演も果たした。そして、来る9月には嬬恋村で行われる〈TINY GARDEN FESTIVAL〉への出演が決定。同フェスではbonobos、キセル、ミツメ、やけのはら、STARS ON PANと名を連ねるなど、着実に広がりを見せるなかで完成したのが本作だ。

『これからもここから』では、久保田敦(ギター)、鈴木雄三(ギター/キーボード)、飯島梢(ヴォーカル/シンセサイザー)のそれぞれに違うルーツを持った3人のソングライターによる楽曲を、飯島の純真で凛とした佇まいの歌が美しく起伏を描きながら一本筋を通している。彼らが〈普段の仕事、生活があるから続けてこられた〉と言うように地に足がついた路地の音楽は、時流から離れた日々の暮らしから生まれる、言わば〈リヴィング・ポップ〉。そういう意味では、空気公団やLampといったバンドにも連なるとも言えそうだ。

今回Mikikiでは、オリジナル・メンバーである上記の3人にインタヴューを実施。〈これからもここから〉と新たな出発点を刻むような、この多彩な音楽集を紐解いていった。インタヴュー後、〈今の路地は家族みたいなんです〉と話す飯島の表情には、バンド活動の充実ぶりと音楽への熱意が窺えた。

路地 これからもここから ROJI(2018)

 

新メンバーのこの2人じゃなかったら路地はうまくいかなかった(雄三)

――再始動にあたって加入されたお2人はどういった経緯で?

久保田敦(以下、のすけ)「高橋(Takahashi 993、ベース)は僕と大学のサークルが同じで、当時からよく一緒にバンドをやっていたんです。なので、僕としては身内すぎるなとも思ったんですけど、続けるためにはそんなことも言ってられない状況だったので声をかけたら〈いいっすよ〉と言ってくれて」

鈴木雄三(以下、雄三)「僕も2人とは同じサークルなんですが、学年が違くて。OBとしてサークルのライヴに行って、2人がウィルコとかはっぴいえんどをやっているのを観ていて、いいなと思ってたんです。高橋くんのベースはテクニックというよりも、楽曲に寄り添った音を出すのが上手で。いい意味でいなたいベースを弾くなぁと。だから路地にも合うだろうと思いました」

――一方で大橋想さん(ドラムス)の加入は意外でした。というのも、大橋さんは元々関西でThe FoglandsやCoughs(サポート)といった、路地のカラーとはまた違うインディー・ロックの影響を受けたバンドで活動していたんですよね。

雄三「それを思うと、ほんと奇跡的な出会いでしたね」

のすけ「去年の年始頃に下北沢THREEに行ったときに、イヴェンターやDJをやっているツタヤさんという方に会って。ドラムがいなくて困っていると相談したら、ちょうど大阪から上京してきた大橋ってヤツがいる、と教えてくれたんです」

雄三「Coughsを聴いてみた印象としては、(大橋が)路地に合うのか不安でした。だから引き続きいろんなドラマーとセッションしていたんですが、どの人もしっくりこなくて。それで想くんに連絡して、実際に一緒にやってみたら〈ド当たり〉だったんですよ。ちゃんと自分の意見を持っている人だったし、話も通じて、何より人柄が良かった」

Coughsの2017年作『Best Wishes to You!』収録曲“Hey Girl!”
 

――彼は自身の運営するサイト〈SALON〉でいろんなアーティストの表現の場を作ったり、路地のオフィシャルサイトやミュージック・ビデオも作ったりしていますし、多方面で積極的に活動をしていますからね。そうした新メンバーの2人が入ったことによって、バンド内の雰囲気は変わりました?

のすけ「やりやすくなりました。特に自分は元々先輩のバンドに入ったという立ち位置だったので、どこか遠慮していた部分はあって。そこに2人が入ってきて、関係性がフラットになった。部活で言えば、1年生のときは何も言えなかったけど、下が入ってきて調子に乗る感じというか(笑)」

飯島梢(以下、梢)「私も路地に入る前はMISIAとかR&Bが好きで、アコースティックのユニットをやっていて。初めは〈こんな曲歌えるのかなぁ〉と思いながら、それまでと全然違う畑のバンドに合わせるのにとにかく必死でした。だから私ものすけさんと同じような気持ちなんですけど、2人が入ったことで〈よしやろう!〉と、みんなの火が付いた気はしますね」

雄三「今までは意見交換ができていなかったんですよ。ダメならどこがダメだと指摘したり、良いところがあればしっかりリスペクトしたり、ということがお互い気を使っていてできていなかった。でも新しく入ってきた2人はそれが自然とできるんです。そういった覚悟を持った2人じゃなかったら路地はうまくいかなかったと思いますし、彼らのお陰で僕たちも気持ちが変わりました」

 

これからは自分が歌いたいと思える曲をやろうと決めた(梢)

――再始動以降に制作された8曲が収録された『これからもここから』は、これまで以上にいろんなテイストの楽曲が並んだ、カラフルなアルバムになっていますね。ここからは収録曲に一曲ずつフォーカスしていくことで、路地の音楽性を紐解いていければと思うのですが、まずはアルバムの制作に入る前に発表されていた楽曲から。

再始動の発表と共にSoundCloudで公開された雄三さんの作曲による“月と舟”は、カントリーやドリーム・ポップ、USインディーからの影響が感じられた前作『窓におきてがみ』からすると、新境地とも言えるアーバンなミドル・チューンで驚きました。

雄三「当時はディアハンターのようなUSインディーに影響を受けていたので、ギターをギャンギャン入れて、そこに梢さんの澄んだ別世界の歌が融合するというものを目指していたんですけど、融合させるためにどう具体的に工夫していたかというと何もできてなくて。  だから今回は自分がまとっているものを剥ぎ取って、本当にやりたいことへとシンプルに取り組みたかったんですね。それで、自分のルーツであるダニー・ハサウェイとかダスティ・スプリングフィールドのようなR&B~ソウルに立ち返ったんです」

――この曲を聴いて、路地がふたたび始まっていく感じがしました。ゆったりしているけど、〈どうでもいいさ舟の行く先 始まり終わり 身を委ねて〉という歌詞や、梢さんの歌にもどこか吹っ切れた自由さがあって。

「これまでは、作ってきてくれた曲を自分でもよく理解しないまま歌っていたところもあったんです。でも再始動するとなって、これからはちゃんと自分が歌いたいと思える曲をやろうと決めたんです。そんなときに雄三くんが作ってきてくれた“月と舟”は、素直に歌いたいと思えて。メロディーやニュアンスで納得のいかない部分は相談して、いじらせてもらったんですが。夜っぽい雰囲気が自分の歌の良さをいい塩梅に出せたと思うし、ライヴで歌っていてもお客さん一人一人と一対一になれる気がする曲なんです」

――また、“朝が来るまで”も再始動発表直後にスタジオ動画が公開されました。こちらはのすけさんによる曲です。

のすけ「曲自体は3年前にはあって、自分が曲を書きはじめた最初期の曲なんです。ずっと同じコード進行で、歌詞も言葉遊びを入れたり、今聴くと当時の模索している様子もわかるんですけど、けっこうおもしろくって。共に夜の雰囲気がある曲ということで“月と舟”との連続性も考えて、このタイミングで仕上げることになりました。実は、前のメンバーでやったときはしっくりこなくて断念したんですけど、今回新しい2人と一緒にやって、全然違う完成形になってよかった」

雄三「のすけさんは〈過去の曲〉としていたけど、僕がもう一回この曲がやりたいって言ったんですよね。ミニマル感というか、今言っていたように同じ進行の繰り返しなんだけど、それを感じさせないギターのいいフレーズとメロディーがあって、すごい曲だなと前から思っていて」

――以前断念したことをふまえて、今回はどのように仕上げていったんでしょうか?

のすけ「重心を下げたレゲエっぽいアレンジでやってみたいというのがあって。高橋の粘り気のあるベースと想くんのゴーストノートの細かいフレーズがぴったりハマりました。ギターの裏拍の音も日本人はアップストロークで弾きがちだけど、雄三さんにルーツ・レゲエのようにダウンでやってくれとお願いして」

楽譜に記されないくらい小さな音で叩く、音と音の間に挟み込まれる装飾音

雄三「アップだと1弦の高い音から鳴るので音の立ち上がりが早いんですよね。そこをダウンでやってみたら、この曲のレイドバックした湿った感じが出て、すごく良くなった」

「この曲は歌い上げようと思えばできる曲なんですけど、あまりそうしないでネチっとするように歌っています。のすけさんからはさらっと無表情で歌ってほしいとも言われていて、そのなかで流れるように歌うところもあれば、リズムを感じさせるように歌っている部分もあって難しい曲ですね」

――そして、MVも公開されている“えんとつ屋さん”は、キャッチーなメロディーだけど、アウトロに向かってどんどん演奏が熱を帯びてきてファズギターまで飛び出すという、おもしろい曲ですね。こちらものすけさんによる楽曲です。

のすけ「これを書いたのは活動が止まっていた時期な気がするけど、バンドがうまくいってなかったのが歌詞に表れていますね。ファズを入れたのもやけくそです(笑)」

雄三「コードがおしゃれで、シティー・ポップっぽくも聴けますね。この曲には路地のいいところが詰まっているんですよ。コード感と言葉のセンスはもちろんなんだけど、3連符へのこだわりや、ファズギターの勢い。それから、これまでのインディー・ロック感のある路地と、新しいポップスを目指す今の路地が絶妙なバランスで融合した感じがあって。出来上がったときは、再始動後のひな型になるような曲じゃないかなと思いました」

――ここまでの3曲がアルバムの制作前に発表されていた曲ですが、具体的にアルバムを作ろうと思ったのはいつからですか?

雄三「バンドで目標にしていた〈りんご音楽祭〉に去年出演できて、その次の目標としてアルバムを作ろうか、となったんです」

――再始動後1発目のライヴは〈りんご音楽祭〉出演へのオーディション企画〈RINGOOO A GO-GO〉でしたよね。

雄三「とにかく新しい5人で納得できる演奏、アンサンブルを作ることが第一優先でした。その成果として実現した〈りんご音楽祭〉への出演は、今後もバンドを続けていくためのマスト条件というほど、そこに向けてひたすら練習していたんです」

 

音楽って楽しいな(のすけ)

――では『これからもここから』の残りの新曲5曲についても伺えればと。序曲である“ラフ”は冒頭のコーラスや美しいメロディーラインが、幕開けにふさわしい曲だと思いました。

雄三「ちょうどこの曲を作っている頃に引っ越したんです。多摩ニュータウン方面の団地で、昔はブルジョア階級的な方々が住んでいた地域らしいんですけど、今は半分荒廃していて。でも最近は子連れの若い夫婦なども住みはじめていて、そういう古さと新しさが同居しているなんとも言えない街なんですよ。そこが思いのほか気に入ってしまって、“ラフ”は僕なりに書いたこの街のテーマソングなんです。素直に率直に恥ずかしがらずに、とにかくポジティヴなことを表現しました」

のすけ「今までの雄三さんの曲はコードも丹念で難しい曲が多かったんですよ。でも“ラフ”はすごく開かれていて、曲に呼ばれてアレンジもするっと出てきましたね」

雄三「凝ったことは一切してなくて、今までになくストレートなポップスになりましたね。無意識ですが、いろんな人に受け入れられる曲にしたかったのかも……」

――“舫”はのすけさん作ですね。

「最初は全然違うタイトルだったんですよ。“Boston Kids Graffiti”という(笑)」

のすけ「歌詞では〈りんご音楽祭〉のステージが終わった後、山の上の草むらで昼寝していたらいろんな人に〈良かったよ〉って声をかけてもらって、〈お~音楽って楽しいな~〉と思ったときの気持ちを歌っています」

――〈サタデイナイト 途切れないように〉と、歌詞からもハイテンションな気持ちが伝わってきます。サウンドもギタリストが作った曲らしい、モータウン・ビートのロックンロール・チューンですね。

のすけ「路地の音楽は自分のルーツとはかけ離れているものが多くて、今まではそれに自分が歩み寄っていく作業が新鮮で、難しくて、楽しい、という気持ちでやっていたんです。でもこの曲は逆にみんなに歩み寄ってもらおうと思って。ストロークスやガンズ・アンド・ローゼズ、イギー・ポップ、ダイナソーJr、あと広末涼子の〈MK5〉(“MajiでKoiする5秒前”)とか、自分の好きなものをぎゅっと詰め込んで作りました」

雄三「ギターはのすけさんの上手さに追いつくのが大変で。すごく難しいことをやっているわけじゃないんですけど、跳ねるリズムに対するギターのタイム感を掴むのが大変でした」

のすけ「確かに、これだけギターのリフで押す曲は初めてかも」

「のすけさんの曲って、1回聴いたときは〈ふーん〉って感じなんですよ。でも段々、〈すっごくいい曲じゃん!〉となるのが毎回不思議なんですよね。ライヴでは、タンバリンをばんばん叩きながら歌っています」

――さて続いて“深呼吸”ですが、梢さんが作った曲が初めて収録されたんですよね。ピアノ主体の靄がかったサウンドが心地良い、アルバムのインタールード的な役割も果たしている楽曲ですね。

「この曲を収録すると決まったときは〈え? いいの?〉って感じでした。デモではキーボードでジャーンってやって、ふふふーんって歌っただけだったので、アレンジするみんなは苦労したんじゃないかな」

雄三「〈ジャーンってやっただけ〉って言うけど、デモのときからリヴァーブがかかっていてインディー・ロック感のある音作りがちゃんとされてたんですよ。コードも全部Cでいけるんだけど、ルート音でちゃんと進行しているのも絶妙で。鍵盤をどう弾くかでガラッと表情が変わってしまうから、梢さんの意図をくみ取りながら、インディー感も残るようなきわどいコードの押さえ方をしています。ドラムも冒頭のあたりはリヴァーブとコンプをかけて音色を変えていますし、実はエッジの効いた曲です」

――梢さんの歌い方も独り言のような感触ですね。歌詞も〈きっとどうでもいいこと 昨日のことなんて〉って、ちょっと後悔があるような。

「日常で嫌なことがあってひっかかっていることって、他人からしたら大抵どうでもいいことなんだってことを自分に言っている曲なんです。なので、ネガティヴな曲じゃないですよ(笑)。私はネチネチして、翌朝になってもそういえば昨日……と蒸し返しちゃうタイプで。そんな自分を〈大したことないよ!〉って応援しているポジティヴな曲なんです」

――そんな内省的な視点も他の曲とは違っていておもしろいです。のすけさん作の“こわれもの”は、オールディーズや歌謡曲のような雰囲気もある曲ですね。

のすけ「歌詞も曲も、〈照れをなくす〉というのがテーマです。2回転調してどんどん盛り上げていく構成やコーラスの入れ方も、インディー・ロック好きのひねくれた大学時代だったら絶対にやってなかった。歌謡曲っていうのもそうで、レコーディングのときに梢さんに(松本)伊代ちゃんみたいに歌ってって言った記憶がありますね」

――“センチメンタル・ジャーニー”みたいなフレッシュ感が欲しいと(笑)。

雄三「高橋くんは〈ちびまる子ちゃんのエンディングみたい!〉と言っていましたね。老若男女問わずいい曲だと思ってもらえるような普遍性がある曲だと思います。あと、よく聴くと薄くオルガンが鳴っていて、それが実はすごくいい味を出しています。コーラスと補完し合うような音の積み上げ方をしていて、そこが聴きこんでいくほどハマっていく普遍性につながっているのかもしれない」

 

ルソーみたいになりたい

――最後はのすけさん作の“おきてがみ”。アコースティック編成で録音されています。このタイトルは前作の『窓におきてがみ』との関連はあるのでしょうか?

のすけ「これは曲も歌詞も衝動的に3時間くらいで出来たもので、つながりはなくて。ふと出てきたものなんです」

雄三「でも歌っている内容は、結果的に前作から今に至るまでの状況の伏線になっているよね」

のすけ「(アブラハム・)リンカーンのエピソードで、ミスをした部下を叱責する手紙を書いたけど、その手紙を出しても何も生まれないと思い机の中にずっと閉まっていた、というものがあって……そんな曲ですね」

雄三「もうちょっと説明が欲しい(笑)」

のすけ「えーと……バンドをやっていると、〈終わりそうになる〉タイミングって何回か訪れると思うんですよ。そういうモヤモヤした気持ちを吐き出したいと思いながら、今回路地は結果的にうまくいって続いたわけですけど。その〈モヤモヤ〉を曲の中に残しておくような感じですね。でも、僕らが尊敬するシャムキャッツだってそういう時期があったみたいだし、きっとそういうタイミングってどんなバンドにもあることなんですよね。だから悲観的な曲ではなくて、いろいろなことがあったけど、ちゃんと今になって良かったなぁという」

「のすけさんって自分の気持ちを素直に言えないシャイな人なんですよ。でもこの曲は自身の気持ちを120%、エグいくらいに出せている曲だと思います」

雄三「のすけさんがどういう想いでこの曲を書いたのか、初めて聴いた瞬間にわかったから、自分も弾いていると感極まってくるんです。録音は一発録りで、せーのでやったんですけど、それも今のバンドの雰囲気を真空パックしたいという思いがありました」

――そんな8曲が揃った本作のタイトルを『これからもここから』とつけた意図は何だったのでしょうか?

のすけ「これは梢さんが命名しました」

「再始動するにあたって、5人にとって路地がどうあったらいいんだろうかと考えていたんですけど、路地がみんなにとって出発点であってほしいし、戻る場所であってほしいなって思ったんです。だから〈これからもここから〉と」

――作品とバンドの今を一言で言い表した、いいタイトルですね。またジャケットを含めたアートワークも素晴らしいです。

雄三「ジャケットはイラストレーターの原倫子さんに何枚か書いていただいたなかで選んだものです。生活に寄り添った素朴さがありますし、ちょっとザ・バンドのファースト(『Music From Big Pink』)のような感じもして。デザインのディレクションはすべてドラムの想くんがやっています」

(左から)路地『これからもここから』、ザ・バンドの68年作『Music From Big Pink』のジャケット
 

「想くんは音楽以外にもいろんなことができるから、路地を通して彼が豊かな活動をしてほしいし、もっと羽ばたいてもらいたい。彼の未来予想図のなかに路地もあればいいなって思います」

――想さんはバンドで一番年下ですし、末っ子を見守る親心のようですね(笑)。今回、アルバムを作ることでまた一つ目標を達成した路地ですが、今後どんな方向に向かっていくのでしょうか?

のすけ「アンリ・ルソーみたいになりたいです」

雄三「ん? また変な話が出てきたね(笑)」

のすけ「ルソーは本業の傍ら日曜画家として、余暇で絵を描き続けていた人ですよね。最初はバカにされていたけど、後にピカソに評価されるほどの画家になったという。自分たちはゴッホみたいに耳を切り落としたり自殺なんてできないから、ルソーのように、路地の音楽も僕らの生活の傍らにあり続けるものであって、それをいろんな人に聴いてもらえたらいいなと思ってます」

「みんなそれぞれ生活のために(音楽以外の)仕事もしているので、それ以外の限りある時間を自分のやりたいことに費やしているんです。でも、それが何より路地の音楽を作っている気がするし、変えちゃいけない気もしていて。これからも〈音楽で食ってくぞ〉ってガツガツいくわけではないけど、ちゃんと音楽と向き合って、一生懸命上を目指していきたいですね」

 


Live Information

KNOCKING ON THE DOORS TINY GARDEN FESTIVAL
日時:9月1日(土)~9月2日(日)
場所:群馬・吾妻郡嬬恋村 無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場
出演:路地、bonobos、キセル、ミツメ、やけのはら、STARS ON PAN
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路地 2nd Album『これからもここから』リリースパーティー
日時:9月8日(土)
場所:東京・下北沢mona records
共演:YAOYOROS、Dokkoise House
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