戦争がもたらした罪をこういう形で感じるというのはなんとも言えない。志半ばで戦争に奪われた東京音楽学校の学徒達。彼等の在学中の作品が70年余の時を経て奏楽堂で奏でられた。2017年に東京藝術大学130周年記念のプロジェクトとして発足し、クラウドファンディングで多大な支持も得て成功裏に幕を閉じた「戦没学生のメッセージ」コンサートのライヴ音源が待望のCD化。器楽小品、歌曲、オペラどれもが若く美しく日本の音楽の黎明を感じられるが故に、彼らのその後の音楽が聴けないというのはなんとも口惜しい。その悔しさと余りある美しさとが共存する、素晴らしい記録をぜひ聴いてもらいたい。