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【Pop Style Now】キーガン・パウエル、ペティート・ノワール、イエジ……今週必聴の5曲はこれだ!

2018年9月21日~28日

【Pop Style Now】キーガン・パウエル、ペティート・ノワール、イエジ……今週必聴の5曲はこれだ!

天野龍太郎「毎週金曜日にMikiki編集部の田中と天野がお送りしている〈Pop Style Now〉。今日の編集部は、リル・ウェインがリリースしたばかりの新作『The Carter V』の話題で持ちきりですね」

田中亮太「90分近くある大作ですので、週末にゆっくり聴きたいところです」

天野「それよりもカニエの新作『Yandhi』、マジで明日出るんですかねっ!? カニエはアダム・ドライヴァーがホストの『サタデー・ナイト・ライヴ』に出るんですけど、同時に新作も出すっていう話ですがっ!?」

田中「……さあ、今週も必聴の5曲を紹介していきますよ」

天野「まずは〈Song Of The Week〉!!」

 

Keegan Powell “The Door”
Song Of The Week

田中「LAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、キーガン・パウエルのセカンド・シングル“The Door”が〈Song Of The Week〉! ってほとんどの人が彼を知らないと思いますが」

天野「何者なんでしょう……? 僕もこの曲で初めて知ったんですよ」

田中「かく言う自分も(笑)。調べると、今年キャプチャード・トラックからアルバム『Death Lust』をリリースしたチャスティティのサポート・メンバーも務めているようです。チャスティティは激ノイジーなパンクでしたが、こちらキーガンさんはトム・ペティやリプレイスメンツを思わせる泣きのインディー・ロック」

天野「僕はもろに86~92年くらいのロックって感じの音だなって思いました。最高。あとギターの音色はノイジーですが、フレーズや歌い方からはラーズが好きなんだろうなと予想」

田中「本当に情報が少ないので、彼がTwitterでフォロー中のアカウントから探ってたんですけど、ライアン・アダムスやリズ・フェアとか納得の面々のなかに、なぜかオアシスが。確かに粘り気のある歌声と分厚いギターサウンドはファースト時のオアシスにも近い印象です」

天野7月にリリースされているファースト・シングル“Practicing Zen”は、もっとノイジーでガレージっぽいロックンロールで、いっそう初期オアシスですね(笑)。ちょっとローファイが入ってますが。それにしても、こういう才能がいまのアメリカから出てきたことがおもしろいなー。亮太さんも大興奮してたし、PSNとしても全力でマークします!」

 

Petite Noir “Beach”

天野「ペティート・ノワールは南アフリカのケープタウンで活動しているヤニーク・ルンガによるソロ・プロジェクトだそうで」

田中「彼はコンゴ人とアンゴラ人のハーフみたいですね」

天野「のようです。10月3日にリリースされる新しいEP『La Maison Noir / The Black House』も、ここ日本での流通が決まっており、詳しい情報が入ってきています。で、この“Beach”はそこからのシングルです。いやー、カッコイイ」

田中「ポリリズミックなビートの組み方と呪術的なムードに魅せられますね。本人は、アフリカ音楽とニューウェイヴとを昇華させた自分の音楽を〈ノワールウェイヴ〉と言っているんだとか」

天野「まさにノワールでダークなシンセ・サウンド。それと、彼の深みのある歌声は、どこかアノーニことアントニー・ヘガティにも似ていますね」

田中「この“Beach”にはダニー・ブラウンとヌクビ・ヌクビの2人が客演しています」

天野「ダニー・ブラウンは言わずもがなデトロイト出身のラッパーで、ちょっとアレなセックスのことばっかりラップしている危なっかしい人です。僕は彼のラップが大好きなんですよね。ちなみに、ダニーは2016年作『Atrocity Exhibition』でペティートをフィーチャーしていました。で、ヌクビ・ヌクビは……?」

田中「インターネット上にはほとんど情報がないのですが、おそらくペティート・ノワールがフックアップしたアフリカのアーティストなのではないかと」

天野「ヴォーカルで参加しているということですが、ふわーっとしたコーラスがヌクビ・ヌクビの声なのかな?」

田中「ともあれ、注目を集めている南アフリカの音楽シーンからすごい才能が出てきた!という感じですよね」

天野「数年前から音楽の世界では話題の地ではありますが、最近は『Latina』も南アフリカのジャズ特集を組んでいましたよね。ペティート・ノワールも南アフリカの音楽も要注目です」

 

Yaeji “One More”

田中「イエジは、韓国出身で現在はNYに暮らすビート・ミュージック系のトラックメイカー。昨年にリリースした『EP 2』が注目されて、人気MP3ブログ〈Gorilla vs. Bear〉ではなんと年間ベスト・アルバムの1位に選ばれていました!」

天野「イエジって言ったら〈♪クゲアニヤ~〉の“Drink I'm Sippin On”ですよね! 『EP 2』は僕もよく聴きました」

田中「去年末には、東京・渋谷のWWW/WWWXで大晦日に開催されたカウントダウン・パーティーで来日していましたね」

天野「僕は観逃しちゃいましたが……」

田中「実は僕も……。ただ、Boiler RoomでのDJセットなんかを観るかぎり、めちゃくちゃスキルフルとかではないし、選曲も良い意味で幅のある感じなんですけど、なぜか適度な温度感が保たれていて。たまにマイクで歌を乗せつつ、彼女にしかできないムードを作り出しているんですよね。あとDJ中にバッグを背負ったままなところが最高です。

さて、この“One More”は『EP2』以来となる新曲。韓国語と英語を織りませながらの歌唱が醸す浮遊感が、相変わらずクセになる感じ。推進力のあるキックとアトモスフェリックなシンセが心地良く踊らせてくれるハウシーな楽曲です。ケリー・チャンドラーやラリー・ハードを彷彿とさせるというか」

天野「少し前に出たチャーリーXCX“Focus”のリミックスもすっごく良かったなー。あれも4つ打ちのダンス・ナンバーでしたし、独特の質感のハウス・トラックを作るのが彼女の特徴ですよね」

田中「〈フロア・バンガー〉なんて言葉は彼女の作風には似合わないけれど、今後パーティーでスピンされると歓声が上がる楽曲にはなるんじゃないでしょうか。いろんなDJが自分なりのロング・エディットを作りそうです」

天野「あと照沼(健太)さんが〈ヴォーカル録りにマイクじゃなくてレコーダー使ってる〉って指摘してたんですが、僕もFACTが作ってる制作風景の動画を観ておもしろいなって思いました。ホントにユニーク。次の一手が気になるアーティストです」

 

SOB X RBE “Made It”

天野「次はSOB X RBEの“Made It”。本日リリースの『GANGIN II』から先んじて公開されたシングルです。〈ギャンギン〉ですよ〈ギャンギン〉。声に出したくなりますね」

田中「カッコイイ曲ですね! ヤング・T.O.の歌がスムースだし、ギターのカッティングは軽やか。西海岸っぽい曲ですね。SOB X RBEはケンドリック・ラマーがフックアップしてるんでしたよね」

天野「そう! ケンドリックが中心になって作った『Black Panther: The Album』でも一際目立ってたのが彼らです。『GANGIN II』は、2月にリリースした『GANGIN』から早くも届けられた続編で」

田中「“Made It”ではヤング・T.O.だけでなく、ラル・G、ダボーイの3人でラップしてますね」

天野「SOB X RBEはその3人とスリミー・Bからなる、カリフォルニアはヴァレーホのラップ・グループなんです。いまいちばん勢いを感じるラップ・アクトは彼らでしょう。とにかく粗野で、威勢がよくて、パワフル。ソロでもグループでもどんどん新曲とかEPとかが出てて、破竹の勢いですね」

田中「この“Made It”でも〈俺たちは何もないところから来たけど、いまじゃ有名だ〉って言ってますね」

天野「〈やったるで!〉って感じですよね。〈人生をやり直すことがあっても、俺はこの生き方を変えないぜ〉とかカッコイイ!って思います。今後も彼らの周辺から新曲とかビデオとかがバンバン出てくると思うので、追っかけるほかないですね」

 

Kevin Gates “Adding Up”

天野「最後はケヴィン・ゲイツの新曲“Adding Up”です。この曲は本日リリースの『Luca Brasi 3』からのリード・シングル。ケヴィンのことはどこかで紹介したいとずっと思ってたんですよね」

田中「いったい何者なんですか?」

天野「ルイジアナ、バトンルージュ出身のラッパーです。ニューオーリンズの北西に位置するバトンルージュは、ブージー・バッドアスが有名なラッパーでしょうか。ホントに治安が悪い場所みたいで、ケヴィンも何度も刑務所に入れられていますが、今年の8月にも21歳のラッパーが射殺されています

田中「えー……」

天野「ケヴィンは2016年に『Islah』というアルバムでアトランティックからメジャー・デビューして、いまや同地を代表するアーティストかもしれませんね。絶賛されたアルバムですが、ホントに良いアルバムで、僕もよく聴きました。彼のことを初めて知ったのは2013年のミックステープ『The Luca Brasi Story』で、新作はその第3弾ですね」

田中「この“Adding Up”でも〈ルカ・ブラージ〉って言ってる気がしました!」

天野「そうなんですよ! 映画『ゴッドファーザー』を観たことがない亮太さんに説明しますと、ルカはゴッドファーザーことドン・コルレオーネにすっごく忠実な、超強い殺し屋なんです。なんともいえない不器用さのある名サブキャラですよ、最期はかわいそうですが。ケヴィンはそんなルカに入れ込んでて、自分自身に重ねつつ、タフなストリート・ライフを太い声でメロディアスにラップするのが得意、って感じですね」

田中「なるほどー。で、“Adding Up”はどんな曲なんですか?」

天野「コーラスは〈俺がカネの勘定をするたびに額が増えてくぜ〉っていう、〈らしい〉内容ですね。ヴァースは短いセンテンスをどんどん叩きつけてく感じで、〈元カノなんて覚えてねえ/元カレのことなんてどうでもいいんだろうな/ちくしょう〉っていうラインがちょっとおもしろい」

田中「とりあえず今週末は『Luca Brasi 3』を聴きつつ、『ゴッドファーザー』を観ないとですね」

天野「いやっ、何がなんでも『ゴッドファーザー』を優先して観てください! もちろん『ゴッドファーザー PART III』まで!! そんなわけで今週はこのあたりで」

 

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