INTERVIEW

ウォルフガング・ムースピール『Where The River Goes』 オーストリアの鬼才ギタリストが放った渾身のECM第3弾

左から、アンブローズ・アキンムシーレ、ウォルフガング・ムースピール、ラリー・グレナディア、エリック・ハーランド、ブラッド・メルドー ©Juan Hitters/ECM Records

オーストリアの鬼才ギタリストが放った渾身のECM第3弾

 それまでも精力的にアルバムをリリースしてきていたウォルフガング・ムースピールが、ECMから第1弾『Driftwood』をリリースして話題となったのが2014年。続く2016年の第2弾『ライジング・グレース』はアメリカのダウンビート誌で5つ星を獲得。名門レーベルと契約して勢いに乗るムースピールが第3弾として送り込んできたのが『ホエア・ザ・リヴァー・ゴーズ』である。

WOLFGANG MUTHSPIEL Where The River Goes ECM/ユニバーサル(2018)

 「ピアノのブラッド・メルドーとトランペットのアンブローズ・アキンムシーレは前作で初めてプレイしたんだが素晴らしくて、もっと演りたいと思ったんだ。ベースはバークリー音楽院時代からの長い付き合いのラリー・グレナディアで、ドラムのブライアン・ブレイドと共に前々作と前作でもプレイしてもらった。ただ、今回はブレイドに替わってエリック・ハーランドがドラムを叩いている。私のアルバムにはこれが初参加だけれど新風を吹き込んでくれたよ」

 収録されている全8曲のうち4曲目《クリアリング》はその場で完全に即興で演奏されたもので、7曲目《ブルースヘッド》はブラッド・メルドーが書いたストレートアヘッドなジャズ・ブルース・ナンバー。残る6曲がムースピールのオリジナルである。

 2曲目《フォー・ジャンゴ》はヴァイブ奏者ミルト・ジャクソン作のジャンゴ・ラインハルトに捧げた《ジャンゴ》と一瞬見まごうが、「イギリスのピアニスト&作曲家ジャンゴ・ベイツにトリビュートしたんだ」とのこと。また、ムースピールのユーモアのセンスが感じられるのが6曲目《ワン・デイ・マイ・プリンス・ワズ・ゴーン》だろう。「言うまでもなく《サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム》をもじってつけた(笑)」と笑うが、どっこい、演奏はピーンと糸が張りつめたような緊張感にあふれていて引き込まれること必至。 「曲によっては、メンバーが自由にプレイするところを随所に設けた。だから、アドリブ・ソロはもちろん、各メンバーが触発されながらのインタープレイにもぜひ耳を傾けて欲しいね」と熱く語った。

 そのムースピールは5曲で空間を舞うかのような魅惑のエレクトリック・ギターを披露する一方で、3曲ではナイロン弦のアコースティック・ギターも。前出の4曲目《クリアリング》もだし、ギター1本による5曲目《ブエノスアイレス》は彼が敬愛するラルフ・タウナーを想起させる珠玉の独演だし、ラスト8曲目《パノラマ》はドラムとのデュオによる楽器同士の対話も飛び出すなど、パフォーマンスはむろんのこと、楽器面、編成面においても起伏に富んだハイ・クオリティなアルバムになっている。

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