COLUMN

アンドレア・モティス『もうひとつの青』 ジャズからブラジル音楽へ~リズム、言語、そして様々な文化まで広がる好奇心

©Jean - Marc Viattel

 

ジャズからブラジル音楽へ~リズム、言語、そして様々な文化まで広がる好奇心

 2017年に初リーダー作にしてメジャー・デビューとなる『エモーショナル・ダンス』を発表した、スペインはバルセロナ出身の才媛アンドレア・モティスによる2枚目。イズマエル・シルヴァやホキ・フェレイラ、パウリーニョ・ダ・ヴィオラ、モティス自身とも交流があるというモアシール・ルースやルイス・タチーチの作品など、〈通な〉選曲が興味をそそる。

ANDREA MOTIS もうひとつの青 ユニバーサル(2019)

 彼女自身の作詞または作曲によるオリジナルも、持ち前の明るい性格がはじけるサンバの“ブリーザ”、しっとりとした歌が心に沁みるバラードの“センシ・プレッサ”、思わせぶりな“レコル・デ・ニット”(〈夜の記憶〉とでもいった意味だろうか?)の3曲が聴ける。日本盤のボーナス・トラックとして収録された、ボサノヴァの巨匠の名前に引っ掛けた“ジョ・ビン”も、アルバム全編でピアノを弾いている盲目の才人イグナシ・テラザと彼女の共作だ。

 1枚目の『エモーショナル・ダンス』では、トラッドなスタイルでスタンダードを歌ったり、ラテン語圏どうしの親和性の強みでボサ・ノヴァ曲を取り上げたり、英語の歌詞によるコンテンポラリーなオリジナルを盛り込んだりと、音楽スタイルでバリエーションを出していたのに対して、本作ではボサノヴァやサンバといったブラジル音楽中心にスタイルを絞り込むことで、とりわけモティスのヴォーカリストとしてのテクニックや表現力が際立つ結果となっている。ハロルド・バルボーサ作詞の軽快でユーモラスな“マダムとの喧嘩はなんのため”や、“サウダージス・ダ・グアナバーラ”などは、モティスの快活な側面をよく表現している。いっぽう、トランペッターとしての存在感は、あらゆる側面を披露したデビュー作に比べてやや抑えられた印象だが、ひとりのアーティストとしての作品として全体を見渡せば、コンセプト、楽曲、アレンジなどのクオリティは確実に上がっており、4月の来日公演もますます楽しみになる。

 


LIVE INFORMATION

ANDREA MOTIS QUINTET─もうひとつの青─
○4/23(火)24(水)25(木)ブルーノート東京
www.bluenote.co.jp/
○4/26(金)名古屋ブルーノート
www.nagoya-bluenote.com
○4/28(日)モーション・ブルー・ヨコハマ
www.motionblue.co.jp/

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