昨年にデビュー・アルバム『Cheyenne』をリリースした、テキサス州ダラス発の新世代シンガー・ソングライター、コナー・ヤングブラッド。彼が初の来日公演を4月15日(月)にBillboard Live TOKYOで、4月17日(水)にBillboard Live OSAKAで開催する。

Mikikiでは来日を目前に、5名のアーティストがコナーの魅力と公演に向けた期待を綴ったコメントを掲載する。掲載済みのavengers in sci-fiの木幡太郎(ギター/ヴォーカル/シンセサイザー)、TAMTAMの高橋アフィ(ドラムス)、MONO NO AWAREの柳澤豊(ドラムス)の3名に続き、本日は残る2名であるROTH BART BARONの三船雅也(ヴォーカル/ギター)と、DJ/ライター/イヴェンターのTAISHI IWAMIのコメントを公開。

★avengers in sci-fi 木幡太郎、TAMTAM 高橋アフィ、MONO NO AWARE 柳澤豊によるコメントはこちら

コアな音楽好きとしても知られる彼らも〈いま観ておきたい〉と推薦するアーティスト、コナー・ヤングブラッド。これらを読んで気になった人は、ぜひ公演に足を運んでみてほしい。 *Mikiki編集部

 


三船雅也(ROTH BART BARON)

〈ここではないどこかへの憧れ〉と〈いまここに生きること〉は相反するのだろうか? たとえば、前者は憧れを拗らせてしまって生きるべき目の前の現実をおざなりに漂う、後者は目の前の地面にばかり気をとられて目の前に広がる広い世界が見えなくなってしまう。〈理想〉と〈現実〉、と言うこともできるのかもしれない。しかし一見相反するようなこの二つの心は強力な化学反応を生み出すエネルギーとなり得ると僕は思う。

アメリカはテキサス州ダラス、ケネディの残り香がするこの街で生まれ育った一人の青年が、StockholmやFinlandというタイトルを纏って繊細な歌を歌う。ヨーロッパを旅しながら、すべてを一人でプロデュースをし、紡ぐように。その音楽に漂うのは、アメリカの乾いた空気と北欧の澄んだ、それでいて決して明るくはない情景の上質なたっぷりとした化学反応だ。この音楽は大勢でワイワイ騒ぎながら撫で共有する音楽ではないかもしれない。だが、一人一人の体験や思い、パーソナルな音楽の時間が、自分の部屋を飛び出して、海を越え、知らない誰かと薄く、細い、でもしっかりとした糸で繋がってゆく、そういう小さな確かな確信を聴くものすべてに与えうる音楽だ。2010年代が終わりを迎え、混沌とした明日がどうなるのかもわからない僕らには、この〈小さいけど確かなもの〉を共有する感覚が、時間がいま、一番大切なのかもしれないし、僕はそれを大事にしていきたいとも思うのだ。彼の音楽には間違いなく〈それ〉がある、〈ここではないどこかへの憧れ〉と〈いまここに生きること〉の両方を持った美しく力強い歌、あなたはライヴでそれを体験するだろう。

三船雅也

1987年、東京世田谷区生まれ。
2009年に ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)を結成。自主制作にて3枚のEPをリリースしたあと、felicityより3作のフル・アルバムを発表。バンドは〈FUJI ROCK FESTIVAL〉や〈SUMMER SONIC〉など大型フェスにも出演。また、中国・台湾・モンゴルを回るアジア・ツアーや、NYやボストンなど北米7都市を回るUSツアーなど、海外でのツアーも精力的に展開。2017年2月には、故デヴィッド・ボウイ生誕70年を記念する〈CELEBRATING DAVID BOWIE JAPAN〉に日本人ソロ・ゲストとして、田島貴男、吉井和哉と共に出演、エイドリアン・ブリュー、マイク・ガーソンらが務めるボウイ・バンドの演奏のもと“All The Young Dude”を披露。趣味は写真。 @ROTHBARTBARON

〈ROTH BART BARON "HEX" Tour Final - Live at 渋谷 WWW -〉
5月10日(金)東京・渋谷 WWW
開場/開演:18:45/19:30
https://www.rothbartbaron.com/shows

 

TAISHI IWAMI

テクノロジーの向こうに広がる宇宙と、人間が力を加え空気を振動させるからこそ生まれる、素朴な暖かみや豪華絢爛な臨場感が溶け合って描き出されるサウンドスケープが素晴らしい。クラシックやジャズ、フォーク、R&Bやエレクトロニカなど、豊かなインプットによって出来た〈家〉を飛び出し、それらを混ぜ合わせながらパーソナリティーを探求していくコナー・ヤングブラッドの創作の旅。それが私の中で日々繰り広げられる感情のループや移り変わりとシンクロし、その先にあるユートピアへと誘ってくる。『Cheyenne』はそんなアルバムだ。

となると、その音を生で鳴らす現場体験ではどんなことを感じるのだろうか。こんなにも綿密に、ときに大胆に作り込まれたアイデアの宝庫のような作品を作る人ならば、きっとライヴでしか味わえない仕掛けにも注力しているに違いない。アーティストの魅力を近い距離で感じながら音とじっくり向き合うも良し、食事をしながらゆったり味わうも良しな、Billboard Liveという贅沢で自由度の高いヴェニューの特色と相俟って湧き上がる期待感が、いまにも爆発しそうだ。

TAISHI IWAMI

大阪を拠点に心斎橋ROCKROCK、京都METRO、新宿ROLLING STONEといった老舗クラブでのレジンデントDJ、ラジオ番組の選曲やDJなどの活動を経て2017年に上京。現在は音楽や映画、アートやファッションなどのインタヴュアー/ライター、hotel koe tokyoでのイヴェント制作/DJや、渋谷Club MALCOLMで毎月開催中のインディーロック・パーティー〈SUPERFUZZ〉の主宰/DJなど、精力的に動き回る日々を送っている。 @TAISHI_IWAMI

 


LIVE INFORMATION
コナー・ヤングブラッド
2019年4月15日(月)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,500円/カジュアルエリア 5,500円
★詳細はこちら

2019年4月17日(水)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,900円/カジュアルエリア 5,900円
★詳細はこちら

■メンバー
コナー・ヤングブラッド(ヴォーカル/ギター/アコーディオンなど)
ベンジャミン・ウィリアムズ(ベース)