リトル・シムズやギグスらの作品に客演して注目を集めていた、ナイジェリア出身ロンドン拠点の新進アーティスト、オボンジェイヤーの初アルバム。怒りを込めたしゃがれ声が重たいアフロビートに乗って迫る先行曲“Message In A Hammer”に圧倒されたが、アルバム全体はアフリカ音楽、レゲエ、R&B、ヒップホップが渾然一体としつつもエッジーになりすぎず、ポップな聴きやすさのある好盤にまとまっている。ヌバイア・ガルシアが参加したジャジーなソウル“Wrong For It”や、アーバンなアフロビーツ“Tinko Tinko”の洒脱なムードなど、メロウな楽曲にマッチする歌声のスムースな甘さも特筆もの。その歌声を重ねて、ゴスペル的な響きをもたらした表題曲の荘厳さにも心打たれる。