INTERVIEW

FLUTRONIX 『2.0』

フルートの調べはチル・アウトの呪文

FLUTRONIX 『2.0』

 眠れぬ熱帯夜に、瞬時にして涼を運んでくるフルートの調べ。ジャズでもソウルでもAORでも、フルートの音色が加わることで楽曲は優雅なベールをまとうが、フルートを横に構えた演奏姿も凛として美しい。さらにスラリとした美女(しかも2人)がプレイするとなれば、これはもう注目して間違いなし。

FLUTRONIX 2.0 Village Again/Flutoronix(2014)

 フルート奏者のデュオ、それがフルートロニクス。ジュリアード音楽院卒のナタリーと、ニューヨーク大学卒のアリソンは、それぞれクラシック界の超エリートだが、ボーイズIIメンのツアーに参加するなどポップ・ミュージックへの造詣も深い。ふたりはMySpaceを介して知り合ったそうだが、数ある楽器の中からフルートを選んだ理由を訊ねてみると、「最初はヴァイオリンを弾きたいなあと思ってたんだけど、音楽を勉強し始めたら、フルートのほうが私を選んでくれた(ナタリー)」、「幼い頃から父がジャズのレコードをよく聴かせてくれたんだけど、なかでもフルートの響きが人間の声に似ているところに魅力を感じたの(アリソン)」とのこと。うーん、ロマンチック!

 6月に日本でのデビュー・アルバム『2.0 (トゥー・ポイント・オー)』を発表したが、7月の終わりに、そのお披露目も兼ねて東京・渋谷でショーケースを行なっている。演奏するふたりとPCから流れるリズムマシンだけ――といういたってシンプルなステージだったが、これが実に優美なライヴだった。フルートは高音域のイメージが強いけれど、ふたりの演奏を聴いていると、実は高低のどちらも表現する楽器だということがわかる。その緩急と、時に小鳥のように可憐で、時にスモーキーな歌声の相性がすばらしい。そして、とことん洒脱なのだ。N.Y.ブルックリンが拠点のデュオというだけあって、アルバムにはJay-Zの大ヒットを支えた大物プロデューサー、スキー・ビーツが参加しているのだが、ライヴでも時折軽快なヒップホップ・ビートが飛び出し、ほどよくストリート感を滲ませるあたりも、さすがの采配。おそらくジャジー・ヒップホップネオ・ソウルのファンにとっては、かなりの「めっけもの」になると思うフルートロニクスだが、本人たちは自分たちの音楽を「アーバン・アート・ポップ」と呼んでいる。「アーバン=都会的な、アート=クラシックの素養。そして、ポップには、ヒップホップもソウル・ミュージックもR&Bも含んでいるの。私たちの好きな音楽のあれこれを、これからもフルートと自由にミックスしていきたい(ナタリー)」。その象徴のひとつがライヴで演奏された、きゃりーぱみゅぱみゅのカヴァー。彼女たちの手にかかれば、どんな曲も洗練を極めてしまうのだな、と実感した。

【参考動画】フルートロニクスによるきゃりーぱみゅぱみゅ“CANDY CANDY”のパフォーマンス映像

 

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