私たちは聴き手の良き隣人であり続ける――瑞々しく疾走する先行曲“US”からバンドのステートメントを受け取った瞬間、ふと涙がこぼれてきた。約2年ぶりの新作は、デビュー当時の方向性=ギター・ポップ × インディー・ロックの系譜を10年分の成熟をもとに改めて鳴らしたような印象だ。トラップ~ブレイクビーツを敷いた“Drowse”などの今だからこその音、4人が耳にしてきた先人たちの音が全編に息づくなか、楽曲に透明感をもたらす畳野彩加の歌声と、聴き進むにつれて揺らぎを増す音像がただひたすらに美しい。日常の風景に社会を映したメッセージ性も含め、一生モノとして手元に置いておきたい、そんな一枚。