2001年から2003年までと、2019年から2023年まで2度に渡りドレスデン・フィルの首席指揮者を務めたヤノフスキ。この組み合わせでヴェリズモオペラの録音がリリースされたが、シンフォニーレパートリーの録音はこのシューベルトが初めて。『グレイト』は2022年にN響での演奏が評判が良かった。この録音でも弦楽器の無窮動など細部の表現にこだわり、指定された繰り返しを行いながらも、長さを全く感じさせないで全曲を聴かせてくれる名演。『未完成』はintoxicate vol.164で紹介したエラス=カサド盤の衝撃が記憶に新しいが、無駄のない音像を実現し、諦観の境地を示すこの演奏も魅力的だ。