フィラデルフィア管弦楽団は、ラフマニノフによるピアノ協奏曲自作自演やオーマンディの名演でラフマニノフ演奏の伝統を受け継ぐ。現在のシェフのネゼ=セガンとこのオーケストラが取り組むラフマニノフ・シリーズの掉尾を飾るにふさわしい鮮烈な演奏が発売。交響曲第2番はアダージョの黒光りするような弦楽の歌に感動させられる。熱く推進力に満ちた終楽章は弾き飛ばさず節度ある客観性を確保して、構築感を忘れずに演奏しているのが良い。交響曲第3番は金管の輝く音色と巧さに舌を巻く。特にフィナーレの第3楽章の目まぐるしく変化する情景とリズムの応酬が完璧に具現化されていて気持ち良い。