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ローリング・ストーンズがニューアルバムHackney Diamonds』を2023年10月20日(金)にリリースすることを、ついに発表した。

ここ数年の彼らは2016年にブルースの名曲をカバーした『Blue & Lonesome』を発表したものの、過去作のリイシューやベスト盤のリリースが続いていた。並行して〈No Filter〉と題した世界ツアーや結成60周年ツアーも行っていたが、その間には新型コロナの影響によるパンデミック、何より2021年にはチャーリー・ワッツとの別れもあった。

ストーンズはどうなってしまうのか? そんな不安を吹き飛ばすのは、やはり彼ら自身の音楽だったわけだ。『Hackney Diamonds』のリリース決定と共に解禁されたニューシングル“Angry”を、音楽評論家の大鷹俊一はどう聴いたか。アルバムへの期待も込めた最速レビューをお届けする。 *Mikiki編集部

THE ROLLING STONES 『Hackney Diamonds』 Polydor/ユニバーサル(2023)

 

新たなローリング・ストーンズ、ここに誕生

来た、来た、来た!!!

ついにリアルレジェンド、ローリング・ストーンズの新曲“Angry”が放出された!! 今年になってから燻り続けていたニューアルバムリリースの噂が一気に現実味を帯びてきたのがこの夏。8月末にはイーストロンドンの地元紙に架空のガラス修理会社の広告を装い新作のタイトルが〈Hackney Diamonds〉であることを匂わせたり、曲名や参加ゲストの情報が溢れ出すなど、たちまち大騒ぎとなった。

2023年9月6日にはバンドの公式YouTubeチャンネルを通じてアルバムのリリースを知らせるメンバーインタビューの模様と、リードシングル“Angry”の配信、同楽曲のMVのプレミア公開が行われた。この配信直後から“Angry”を速攻で聴きまくっている人も多いだろう。

文句なしにかっこいい“Angry”、まず驚かされるのが冒頭のミック・ジャガーのカウントと共に鳴り響くドラムスで、ストーンズサウンドの要を担ってきたチャーリー・ワッツの死はバンドの存続に関わるものだったが、キース・リチャーズからの信頼も厚いスティーヴ・ジョーダンが穴を埋め、ツアーやライブを重ね〈ついにニュー・ストーンズを作り上げたぜ〉との宣言にも聞こえる。

そこにキースとロニー・ウッドらの荒々しいカッティングギターが襲いかかり、ミックが〈なぜ怒りをぶつけ合うのか〉〈絶望的な状態だ〉〈オレの顔に唾をかけるな〉といった言葉を投げかけるが、歌声はとにかく力強く、70年代半ばのパフォーマンスと言われたら信じてしまいそうだ。

『Hackney Diamonds』収録曲“Angry”

シドニー・スウィーニーが出ている“Angry”のMVではそんなバンドの各時代の映像をも上手く盛り込んでいる。間奏の味の濃いギターソロや隙間の多いサウンドメイクはどこか懐かしく、ベテランのストーンズマニアから新しい世代のファンにまで広く受け入れられることは間違いない。