5年ぶりの通算4作目。ファッション界にもハイプを振り撒き、思わせぶりな映像作品の後に満を持してアルバムへという動きはカニエ・ウェストを彷彿とさせるが、ダークでエクスペリメンタルな作品の印象も同様だ。ダフト・パンクによるサイケな“MODERN JAM”も、そのカニエ制作の不穏な“GOD’S COUNTRY”も、神を名乗りだした頃の彼に通じる。一方でビヨンセに舵取りを任せて酩酊フロウを紡ぐ“DELRESTO”をはじめ、トラヴィスならではのディストピアな世界観も強度を増している。サンファが歌うエモーショナルな“MY EYES”では例の事件の重荷にも触れ、本作が単なるユートピアではないことも示す。