Orfeoレーベルから発売中の1954年8月9日のバイロイトでのフルトヴェングラーの『第九』。これを新たに発見されたアセテート盤から復刻したCD。いわゆる『ルツェルンの第九』が8月22日で、演奏時期は近いが演奏内容は正反対。バイロイトは火を吹くような魔性の演奏として知られる。その音質だが第1楽章のティンパニの生々しさが格段に良くなったと感じた。劇場の響きが感じられるとともに、オーケストラが近くに聴こえて緊迫の度合いがより伝わる。後半になるほど音が良くなっていて、第4楽章の冒頭など凄まじい迫力が聴き取れる。フィナーレの熱狂も解像度が増している。