ミックステープ『Adolescence』(2021年)で躍進したロンドンの有望株による新作は、初のオリジナル・アルバムという位置付けの快作。良い意味でUKドリルに焦点を絞ったソリッドな過去作とは違い、今回はビート選びの幅を広げつつ深い語り口を注いでいる。ディガDとの都会的な“Adolescence”やジェイ5によるアフロ作法の“Welcome 2 My Strip”、GRMデイリーとのジャジーな“Like SZA”など佳曲揃いで、リオン・ブリッジズ“Bet Ain’t Worth The Hand”の早回しループが甘酸っぱい“Time”やNEネタでティアナ・メジャー9を迎えた“Rain”あたりの00年代っぽい作りは特に好ましい。リッスン!