正義感が強く言葉よりも拳が出てしまい、孤立する不器用な主人公・寅雄。近所に住むピアニスト・月島治郎との出会いにより、音楽への情熱と才能が一気に開花していく。圧倒的な画力から、音が、熱量が、息遣いが聴こえてくるのは本当に見事。本巻では、音大教授にして天才ピアニストの鬼才・兎山助六に師事し、同世代のライバルの面々も登場。圧倒的なスキルギャップにも〈まだできる事がある〉と、音楽と世界と繋がりたいと切望する、決して諦めないその心持ちも才能か。助六の美しい音に対する渇望、伝える手段として音楽を切望する寅雄。今後どのような化学反応を起こしていくのか見届けたい。