亀川千代が2024年4月7日に死去した。

亀川千代が亡くなったことは本日4月9日、ギタリストの田畑満によって発表された。亀川の家族のコメントによると、以前から病気の療養中だったという。54歳だった。

亀川は、69年生まれのベーシスト。リーダーの坂本慎太郎らによって89年に結成されたバンド、ゆらゆら帝国に加入し、98年に同バンドでメジャーデビューを果たした。ゆらゆら帝国は、97年に加入したドラマーの柴田一郎との3ピースで、2010年に解散するまで活動を続けた。

ゆらゆら帝国以外では、同バンドのプロデューサー・石原洋によるThe Stars、灰野敬二率いる不失者、山崎春美を中心としたガセネタ、見汐麻衣のMANNERS、ドロンコや田畑らとの冬苺（ろくすそるす）、内田静男・ASTROとのGalactic Abyss、ダモ鈴木ネットワークなどに参加。三上寛の『Y A M A M O T O』（2013年）、DOOOMBOYSの『ALPHA & OMEGA』（2018年）といった作品でもベースを弾いている。ここ数年は病気の療養のためにライブへ出演する回数は減っていたが、最期まで日本のアンダーグラウンドなサイケデリックロック、アバンギャルドな音楽シーンで活躍したプレイヤーだった。

亀川といえば、フェンダーのジャズベースをメインにした独創的かつメロディアス、リズム感に秀でた巧みなプレイだが、佇まいがやはり特徴的だった。灰野に似た姫カット的なロングヘアーと揃えた前髪、そして黒一色のファッション。演奏とその存在感、それらすべてがトータルで〈亀川千代〉というほかないものだった。

亀川のあのベースプレイがもう聴けないというのは、残念でならない。あまりにも早すぎる死に言葉を失う。今夜はゆらゆら帝国など亀川が録音に参加した作品を聴いて、彼を偲びたい。

【2024年4月9日22時21分追記】ゆらゆら帝国で活動をともにした坂本慎太郎が自身のレーベル、zelone recordsのXやInstagramアカウントで〈初めて会った時は19歳だった亀川くん／僕とバンドを組んでくれてありがとう／最高のベーシストでした／安らかに。〉とコメントを発表した。