年を跨いでの延期はあったものの、すでに5度目となる全米No.1を獲得しているテフロン・ドンの通算6作目。前作『God Forgives, I Don't』がもったいぶったギラつきと重厚さを極めた大作だとしたら、今回はフレンチ・モンタナの売り出しで共闘したパフ・ダディが共同で総監督(+全曲のミックスを監修)を務めた効果か、どことなく90年代っぽい路上感を帯びた作品として響いてくる。ビギーのリメイク“Nobody”やジーズィとの“War Ready”をその象徴に据えつつ、シズラマヴァードを迎えた“Mafia Music”の第3弾やソウルフルな“Supreme”が前作までの流れと新章をうまく接合。ウィークエンドカニエとのコラボもいいし、ジェイZの『American Gangster』みたいなノリで楽しめる転機作と言えそうだ。