今回は1月28日にベストアルバム『グレイテスト・ヒッツ』を発表されたシンガーソングライター、北村早樹子さんの事をバイヤーとして自身の出来事を交えつつ書いてみようと思います。

北村さんの歌との出会いは2006年、仕事中に見たメーカーからの新譜案内でした。

それは2006年に発売された『聴心器』という北村さんのファースト・アルバムで、そこからは朴訥なピアノ、少女性と諦観が交じり合った様な不安定な歌声が聴こえて来ました。

決してテクニックを披露する様な音楽ではなく、その圧倒的な個性と世界観に、絶対に歌を歌うべき人だと強く思いました。

帯には早川義夫さんのコメントがありました(早川義夫さんの新刊にも「北村早樹子の歌」という文章が載っており、その才を絶賛しています)。

 僕はこのアルバムを無性に好きになり、当時初めて北村さんのライヴにも行ってみました。そしてそこで初めて聴いた“蜜のあはれ”(セカンドの『おもかげ』に収録、「へばの」という映画の主題歌でも使用されています)での時空間が捻じ曲がったかの様な〈閒〉と震えながら突き刺さってくる歌声に動けないくらいの衝撃をくらったのを克明に覚えています。

 「こんな凄い作品を埋もれさせる訳にはいかない!」と自分が担当しているコーナーで『聴心器』の紹介を始めました。

北村さんのスタイルはピアノ弾き語りで、僕が主にバイヤーとして担当している範疇の音楽では無かったのですが(僕が担当しているのはNew Ageコーナーでそこにはエレクトロニカ/アヴァン・ポップノイズ/現代音楽 etc.を置いています。コーナーの詳細は前々回のブログをよろしければご覧下さい)、北村さんの唯一無二の表現は、未知なる歌、音楽との出会いを求めてコーナーに来て下さる方に響くのではないか?

そう考え僕自身も試みとして、試聴に入れて紹介してみたのでした。そうするとびっくりするくらいにそこからお買い求め頂く事が出来ました。

これは僕自身も驚きの体験で、それ以降のアルバムも、北村さんの作品は新宿店では僕が担当しているコーナーで紹介を続け、そのどれもが大きく反響がありました。また、この出来事はコーナーで紹介する音楽の範囲を自身で捉え直す大きなきっかけともなりました。

こちらにいくつか北村さんの音源を貼っておきますので、ぜひ聴いてみて下さい。

 

北村さんの活動10周年の節目にリリースされた今回のベストアルバムには森下くるみさん、杉作J太郎さんが素敵な文章を寄せています(北村さんのHPに抜粋が紹介されています。http://kitamurasakiko.net/)。

北村早樹子 グレイテスト・ヒッツ なりすコンパクト・ディスク/HAYABUSA LANDINGS(2015)

そして波多野敦子さん、坂本弘道さん、ムーンライダーズ武川雅寛さんといった豪華ゲストも迎え、新曲、新録音もたっぷりと収録されています。アルバムを揃えている方も、北村さんを初めて知った方にもオススメです。

 

そして、今回アルバム発売記念イベントを2/1(日)12時〜新宿店にて開催します。トークゲストに杉作J太郎さんが決定しています。

※北村早樹子『グレイテスト・ヒッツ』発売記念イベントの詳細はこちら

北村さんのライヴを体験しに、是非ご来店下さい!

あなたにとっても一生ものの歌との出会いになるかもしれませんよ。

★北村早樹子『グレイテスト・ヒッツ』のインタヴュー(TOWER RECORDS ONLINE)はこちら