スペイセック名義やソロでスムース&スペイシーな傑作ソウル・ミュージックを生み出し、マーク・プリチャードと組んだアフリカ・ハイテックでは先鋭的なミクスチャー・サウンドで高評価を得てきたスティーヴ・スペイセック。そんな異才が今度はビート・スペイセックなる新プロジェクトを始動させた。今回のサウンド・アプローチは特に尖っており、彼の優れたビート・センスの触手は、チープな音色のポスト・パンクからオリエンタルな香り漂うベース・サウンドまで多岐に渡って伸びている。そしてそれらを包み込む艶やかな歌声は、またもやどこにも属さない濃厚で極上な未来派ソウルを提示してみせている。この野心的なモダン・ブラック・ミュージックはセオ・パリッシュの新作と並んでいまのマストと言える。