例えばm-floの新作で浜崎あゆみがラップに挑戦しているように、あるいはいとうせいこうのリリックでラップしていたももいろクローバーZが今度は鎮座ドープネスEVISBEATSとコラボすることを明かしているように、もしくはハロー!プロジェクト全般においてラップ表現が昔から普通のことであったように、ラップ・パートの導入や曲単位でのトライという行為は、チャレンジ精神旺盛なアイドルに限らず、多くの女性アーティストにとってより一般的なヴォーカル表現の選択肢となって久しいです。一方で、いわゆる女性MCの作品がより広い層のリスナーから支持を集めるというケースも見受けられるようになってきました。

【参考動画】m-floの2014年作『FUTURE IS WOW』より浜崎あゆみとの“My Way”

 

 つまり、このようにして新奇さがなくなってくると結局は個々がどのようにラップしているかが重要になるわけで……本稿ではヒップホップ的かどうかといった部分はあえてスルーして、女性の喋りをヴォーカルとしていかに機能させているのか、その魅力がどのように各々の作品に活かされて個性となっているのかを、この好況から探ってみましたよ! *bounce編集部

【参考動画】MARIAの2013年作『Detox』収録曲“Helpless Hoe”

 

▼関連作品

左から、m-floのニュー・アルバム『FUTURE IS WOW』(rhythm zone)、ももいろクローバーZの2013年作『5th Dimension』(スターチャイルド)、モーニング娘。'14の編集盤『モーニング娘。'14 カップリングコレクション2』(zetima)、MARIAの2013年作『Detox』(SUMMIT)、Moe and ghostsの2012年作『幽霊たち』(UNKNOWNMIX)、COPPUの2011年作『Twilight』(in ditch)、Negiccoの2013年作『Melody Palette』(T-Palette)
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lyrical school “brand new day”

 

 この界隈の元締め……と言ってしまうと大袈裟ではありますが、〈ラップ専任アイドル〉というありそうでなかった境地を開拓し、定着させたのがこの6人組だということに異論はないでしょう——着々と認知を広げているlyrical schoolが、4か月ぶりのシングル“brand new day”を完成させました。

lyrical school brand new day T-Palette(2014)

 現体制になったリリスクとしての初めてのアルバム『date course』では、初顔合わせとなる多様なクリエイターを起用。先のシングル『わらって.net/Myかわいい日常たち』は共にイルリメ作でしたが、今回はさらなる意欲的な邂逅で……表題曲のトラックを担当したのは木村カエラらとの仕事で知られるNATSUMENAxSxE! そしてリリックを書き下ろしたのは、久々のソロ作『アカリタイトル1』に次いでULアスタラビスタでの作品もドシドシ続いているLITTLE。喋り口調に近いフロウもリリスクの大きな魅力のひとつでしたが、ライミングの固さにこだわったタイトなラップとギター・ループの牽引するトラックの絡みは、いままでになく勇ましい表情を6人から引き出しています。何と言うか……フレッシュでしょう!

 一方、カップリングの“Sing, Sing”は、リリスクの前身=tengal6時代から馴染みの泉水マサチェリー(元WEEKEND)による安定の味わい。なお、tofubeatsが“ひとりぼっちのラビリンス”を、Negiccoで知られるconnieが“リボンをきゅっと”をそれぞれリミックスした音源は初回限定盤Bにのみ収録ですよ! *轟ひろみ

 

▼関連作品

左から、lyrical schoolの2013年作『date course』(T-Palette)、LITTLEの2014年作『アカリタイトル1』(徳間ジャパン)
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