自宅でピタゴラ装置! 足りなかったあのゴールの瞬間を再現

 Eテレの人気番組「ピタゴラスイッチ」から初めて玩具商品化された《ピタゴラ ゴール1号》は、主にオープニングとエンディングで放送される人気コーナー「ピタゴラ装置」のゴール部分。生活の中にある身近なもの、文房具やキッチン用品など生活雑貨を駆使した仕掛けをビー玉やミニカーが危なっかしくも果敢に突き進む。その行方をじーっと凝視してしまうのは子どもだけじゃなく、ゴールした瞬間のあのジングルにある種の達成感を味わえる。楽しい。

「ピタゴラスイッチ」 ピタゴラゴール1号 ハピネット(2015)

 まさにその瞬間を再現したのがピタゴラゴール。玉が入ると、ころがる→ふみつける→はねかえる→スイッチがおされる→はたがとびだす「ピタゴラスイッチ♪」、というのが一連の流れ。この仕組みや構造は透明になっている裏面から見ることができて、小さいながら充分に胸躍る。そして小さいからこその愛着。

 

 そこにたどり着くまでのコースとなるピタゴラ装置を作り上げるのは自身であり、そこは脳みそを使いたい。目の前にあるマグカップやスマホ、手帳や弁当箱だって玉が転がる運動の一部に成りえる。パッケージにはピタゴラ装置を作るときのミニヒントが封入されていて、さっそく投げ出そうとする子どもや大人を阻止。どうやって転がすか?どうやったらおかしな動きを見せるか?から、いつの間にか考えは、どうやったら面白いか?どうやったら人が喜ぶか?にシフトチェンジされるだろう。家族や友人と笑うために脳と雑貨をフル活用させることになる。

 落ちて跳ね返ったり、ぶつかって曲がったりする自然な動きの連鎖はすべての基本であって、それをどう見せるかを自分で考えていくなんて、近い未来“どんな大人になる?”ということを考えることになる子どもたちにとってのちょっとした準備体操のよう。子どもが考えることを後押ししてくれるピタゴラスイッチならではの、紳士的なメッセージに思う。

 玉を転がす最初のひと押しの緊張感と期待感から、なんとも腑に落ちる自然運動を経て、幸せに満ちた達成感を演出してくれるあのジングル。子どもも大人もご機嫌なのである。