甘い唇から飛び出すラヴストーリーに胸キュン!

 2012年にメジャー・デビューして以降、「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」といった話題のアニメ作品でテーマ曲を担当してきた春奈るな梶浦由記提供の厳かな雰囲気に満ちた“空は高く風は歌う”をはじめ、シングル曲ではスロウ~ミディアム系のナンバーを歌うことが多く、ファースト・アルバム『OVERSKY』もバラード中心の構成だったこともあって、もしかしたら彼女は〈しっとり聴かせる系の歌い手〉というイメージが強いかもしれません。ですが今回のニュー・アルバム『Candy Lips』は、ファッション誌「KERA」では〈妹系〉の読者モデルとしても人気を集める彼女のガーリーな部分にフォーカスした、会心のポップソング集に仕上がっているのです!

春奈るな Candy Lips ソニー(2015)

  〈『Candy Lips』始まるよ♪〉という本人の甘い声をプロローグに、まずはハーレム系ラヴコメ「冴えない彼女の育てかた」のオープニングを飾ったシングル曲“君色シグナル”で幕を開ける本作。そこでホーン入りの華やかなサウンドに乗せて歌われる、女の子の抑えきれない〈好き!〉という気持ちはアルバム全体のムードを象徴するテーマにもなっていて、いつになく甘えた歌声の“みんな絶対キミが好き”や、恋心が元気いっぱいに弾けるポップンロール“SU・KI・DA・YO”など、恋に積極的な女の子を主役にした胸キュン・ソングが次々と飛び出します。GARNiDELiAメイリアが作詞、tokuが作/編曲を手掛けた“乙女の願い事”も、デートの前日のドキドキと昂揚感をキラキラのエレポップに落とし込んだ、曲間で春奈とメイリアによる〈女子トーク〉風の寸劇も披露される楽しいコラボ曲。さらには、スペイシーなシンセとチョッパー・ベースがクールに駆け抜ける“恋の期限は3年、愛の期限は何年?”なんて必殺のアップ・チューンもあって、さまざまな新しい表情を見せる彼女に胸の高鳴りが止まりません!

 もちろん〈しっとり聴かせる〉路線もバッチリ用意されています。河野マリナとのコラボも話題となった田中秀和MONACA)製の可憐な冬バラード“snowdrop”、代表曲“Overfly”と同じくSakuが提供したエモーショナルなミディアム“Startear”といった先行ナンバーに加え、アルバムのラストを飾る“Beautiful World”がこれまた聴きモノ。恋する思いを星空に投影したロマンティックな歌詞(春奈がみずから作詞)と、切ないメロディーの序盤から、サビで一気にスピード感を増して心を奮わせる曲展開が、どことなくsupercell“君の知らない物語”を思わせる名曲です。

 キュートなラヴソングを中心に、その可愛らしいキャンディー・リップスから紡がれる珠玉の歌に、ぜひハートを奪われてください!