今年はリヒテル生誕100周年。貴重な遺産とも言える巨匠の録音を収録したアルバムが次々とリリース、復刻されているが、中でも今回の『カーネギー・ホール・コンサート』シリーズ盤はリヒテル愛好家の方々にとって胸を踊らせられた事だろう。本盤は1960年10月25日に公演されたライヴ盤。まるで本人を目の前にして聴いているかのような錯覚に陥る。興奮さめやらないみずみずしいドビュッシーの演奏には、心地よさを感じてならない。そして、シューマンの“ノヴェレッテ”における、緊張感みなぎる迫力のあるテクニックには、もはや言葉がでない。解説も詳しく、資料性価値も高い。

【参考動画】スヴャトスラフ・リヒテルによるハイドン
“Piano Sonata No 24 in D major, Hob XVI-24”のパフォーマンス