そろそろソロで一発かましてやるかな!
ジャズの領域ということではサンダーキャットやオースティン・ペラルタ、テイラー・マクファーリンらの作品を送り出してきているブレインフィーダーですが、これはその定義を問う必要もなく、あらゆる〈ジャズ〉好きにとっての最大級の一撃となるでしょう。ケンドリック・ラマーの『To Pimp A Butterfly』にサンダーキャットらと並んで大幅に参加という抜群のタイミングで、カマシ・ワシントンのリーダー作『The Epic』がブレインフィーダーから登場することになりました。
ヤング・ジャズ・ジャイアンツのサックス奏者としてロナルド・ブルーナーJr&サンダーキャット兄弟らと活動してきたことも現在ではよく知られていますし、ジャズにそこまでコンシャスでない人でもけっこう前からスヌープやジョージ・デュークらLA産の作品でよく名前を見てきたかもしれません。そんなLAシーンの重要人物だけに今回のリーダー作はヴォリュームからして3枚組、3時間近くに及ぶもの。
ブルーナー兄弟はもちろん、マイルス・モズリー(ベース)やトニー・オースティン(ドラムス)、ブランドン・コールマン(キーボード)、キャメロン・グレイヴス(ピアノ)ら、LAサウスセントラルの仲間たちが集結しています。パトリース・クインが数曲のリード・ヴォーカルを担うほか、テレンス・ブランチャードのカヴァー“Malcolm's Theme”などにはドゥワイト・トリブルも参加。同曲はかつてオジー・デイヴィスがマルコムXに宛てた弔辞を引用する形にリメイクされていて、この試みをいま披露することの意味は言うまでもないでしょう。スピリチュアルでイマジネーション豊かな3枚の体験によって、カマシの名はいよいよ大きくなりそうです。
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※以下、関連盤はカマシ・ワシントンが参加した近作の一部