還暦を超えてなお進化を続けるジャズ・ギターの伝説、その勇姿を目に焼き付けよう
〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉の目玉企画のひとつが、パット・メセニーとBLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRAの共演である。ただでさえオーケストラ的で無限に楽想の広がるメセニー・サウンドを、実際のオーケストラ、しかも日本きっての凄腕集団とのコラボで披露するというのだから、これはもう、いくら期待してもしすぎることはないだろう。
さあ、彼らは何をプレイしてくれるのか。そのヒントとなる一枚が、9月11日にリリースされる。ドイツ出身の巨星、エバーハルト・ウェーバーの功績を讃えた『Hommage』というアルバムで、〈Blue Note JAZZ FESTIVAL〉では本作からの楽曲をセットリストに組み込むとの噂だ。
ウェーバーは60年代からヨーロッパ・ジャズ界を牽引してきたベース奏者。8年ほど前に病を患ってから演奏できない状態が続いているが、今年1月、自身の生誕75年と〈特別功労賞〉の受賞を機にメセニー、ゲイリー・バートン、ヤン・ガルバレク、ポール・マッキャンドレスら旧友を集めてスペシャル・コンサートを開催した。その抜粋が、前述の『Hommage』である。「お世話になってきたウェーバーのためなら」とメセニーが同名の組曲を書き下ろし、現役時代のウェーバーが残したサンプリング音源を絡ませながら、スコット・コリー(ベース)、ダン・ゴットリーブ(ドラムス)、そしてヨーロッパ屈指の気鋭が集まるSWRビッグ・バンドのバックアップを得て演奏した。メセニーは70年代半ば、ゲイリー・バートンのグループでウェーバーと一緒だったことがあり、77年にECMからリリースしたセカンド・アルバム『Watercolors』にもウェーバーをゲストに迎えている。「エバーハルトはいつも僕をインスパイアしてくれるんだ」と、メセニーは言う。
ところで『Hommage』はメセニーにとって、84年リリースの名盤『First Circle』以来、31年ぶりのECMレコーディングにもあたる。自分のオッサンぶりを告白するようで申し訳ないが、僕のように70年代後半からメセニーを聴いている者にとってはいまだに〈メセニーと言えば、まずECM〉〈現在のメセニーがこれほどまでの境地に達したのも、ECM時代があったからこそ〉という印象がどうしても、ある。来日に合わせ、ECM盤の数々もお求めやすい価格でリイシューされるので、〈メセニーは初期からすでにメセニーだったのだ〉と、若く活力のあるリスナーにも知ってもらえたら、こんなに嬉しいことはない。
Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN
【日時】9月27日(日) 12:00開場/13:00開演
【会場】横浜赤レンガ野外特設ステージ
【日時】パット・メセニー with BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA、ジェフ・ベック、ロバート・グラスパー・トリオ、インコグニート、スナーキー・パピー、ハイエイタス・カイヨーテ他
http://bluenotejazzfestival.jp