INTERVIEW

ピアニスト・酒井茜、アルゲリッチとの共演によるストラヴィンスキー〈春の祭典〉のライヴ音源も収録した初ソロ作を語る

(C)Bernard Rosenberg 

 

マルタ・アルゲリッチとの共演も収録、待望のソロ・デビューCD!

 マルタ・アルゲリッチからの格別の薫陶を受け、近年はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンへの出演などにより日本での知名度を着実に高めている酒井茜(p)。この度、キングインターナショナルから待望のソロ・デビュー盤がリリースされた。

酒井茜,MARTHA ARGERICH ストラヴィンスキー:春の祭典/プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第3番/ラヴェル:マ・メール・ロワ、他 King International(2015)

 冒頭には、2014年6月のルガーノ音楽祭におけるアルゲリッチとの共演、ストラヴィンスキー《春の祭典》の4手ピアノ版をライヴ収録。この版は連弾と2台ピアノの双方で演奏が可能だが、彼女たちはペダリングや手の接触による怪我などを考慮して後者を選択したという。

 「マルタさんがダニエル・バレンボイムさんとこの作品を共演することになり、その準備で譜読みを手伝ったのがきっかけです。私は過去にピアノ4台と打楽器の版を弾いたことがあったのですが、改めて彼女の圧倒的な感性に敬服しました」

 その後に続くのは、プロコフィエフのソナタ第3番、バレエ《ロミオとジュリエット》の抜粋、ラヴェル《マ・メール・ロワ》。いずれも色彩と物語性が豊かな名曲で、酒井らしい好選曲になっている。

 「《春の祭典》との相性を考えて選曲しました。プロコフィエフのソナタは演奏時間が短く、CDの収録時間を考えてもちょうどいいかなと思って(笑)。《ロミオ~》のテンポ設定は、若き日のクラウディオ・アバドさんがロンドン響を指揮した管弦楽版の“イケイケ”な録音(1966年/Decca)から多くの示唆を得ました」

 《マ・メール~》の原曲は4手のピアノ連弾用に書かれているが、今回は独奏版。その編曲を酒井自身が行っているのも大きな聴きどころだ。

 「原曲の響きを損なわないことが最優先。その上で、《レドロネット》では東洋的な曲想に合うタムタムの響き(後の管弦楽版で作曲者自身が採用)を取り入れるなど、色々と工夫を凝らしてみました」

 これらのソロ3曲は、2015年2月にわずか1日でスタジオ収録。レコーディングに立ち会ったスタッフたちも、「テイクを重ねるごとに解釈が変わるのですが、不思議なことにどれも素晴らしい。いい意味で選択に悩み抜きました(笑)」と絶賛を惜しまない。そんな温かく華やいだ雰囲気の中、インタヴューの終盤には、早くも次回作に向けた話題に花を咲かせていた。

 「ほとんど録音がないシマノフスキのマズルカを全曲録音してみたいです。簡潔さと野趣が絶妙にバランスしたこれらの作品は、まさに隠れた名曲の宝庫。あと私、実はシマノフスキと誕生日が一緒(10月6日)なので、これはもう運命だなと思っているんです(笑)」

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