巣立ちを迎えた淑女たちの、万感の思いを込めた歌!

 2010年にスタートした若手女性声優5人によるラジオ番組「A&G NEXT GENERATION Lady Go!!」が、今秋、5年間の歴史にピリオドを打った。そこで曜日ごとのパーソナリティーを務めていた上坂すみれ小松未可子大久保瑠美高森奈津美三上枝織から成るユニットが.lady.(ドットレディ)。楽曲の制作に際しては、声優として個性溢れる5人の歌声を均してまとめるのではなく、それぞれの声の特性を伸ばしてさらに相互に影響を与える、というのがこのユニットの特徴だ。コーラスを重ねた部分でも個の声が際立つ様は、彼女たち自身のこれまでの環境から独り立ちをする姿と重なって見える。

.lady. Go!!~Lady Go!! 卒業アルバム~ コロンビア(2015)

 

 このたび届けられた初のアルバム『Go!!~Lady Go!! 卒業アルバム~』は、番組の主題歌を中心とした、彼女たちの記念碑的な一枚。新録曲となる“君と僕との1ページ”は、ピアノのイントロから5人のコーラスへと繋ぐ卒業式を想起させるような展開で、それをアコースティック・ギターの音色が優しく包み込み、各人が思い出を歌い継いでいく。詞曲共にリスナーの涙腺を刺激してやまない楽曲だ。

三上「これまでの主題歌でも作曲を担当してくださった俊龍さんが今回、作詞もしてくださり、そこにリスナーさんや私たちの視線を乗せてくれたので心にストレートに届きました」

高森「それぞれの(歌割りの)担当箇所を読んでみたら、各自にピッタリ当てはまるように書かれていたんです。それだけでもう心にくるものがあったので、一緒に歌ったらもう涙をこらえ切れないだろうなと思いました」

大久保「自分が泣きそうだなとか、思い切り泣きたいなと思った時に、〈泣いてもいいんだよ〉と導いてくれるような曲だなと。聴けば聴くほどきっと私たちのことを思い出してくれる曲になると思いながら収録しましたね」

小松「でも、収録の時にディレクターからは全部笑顔で歌って、泣かせにいかないでくださいと言われました。明るく歌って卒業していくほうがリスナーさんはよけい泣いちゃうんじゃないかな(笑)」

 このほかの収録曲も番組と彼女たちの活動と共にあったもの。まさしく卒業アルバムのように、その時々の思い出と一緒にパッケージされている。

上坂「思い出されるのは番組のイヴェント〈Lady Go!!デート〉において、初めて“Open Turning”と“星を捜して”を披露したときのことです。皆さまのペンライトの温かさに見守られているような気がして、強く背中を押されました」

小松「私は番組の最終回に生歌で“A Little Magic”を披露したんです。すると、5人で歌うのとひとりで歌うのではこんなに違うんだと、余計に寂しさが募りました。5人で.lady.としていさせてもらえた場所だったんだなって」

三上「私はもともとしっとりとしたバラード曲が好きで。なかでも“星を捜して”は切なくもあり、未来への希望も持った明るさのある曲なので、いまでもふとした時に窓の外を見ながら聴いちゃいますね」

大久保「私はやっぱりいちばん最後に録音した“君と僕との1ページ”が思い出深いです。番組の最後にかけた曲で、リスナーさんからも感動したというコメントをいただいて、すごく私たちの気持ちはシンクロしているんだなという気分になりました」

高森「私も“君と僕との1ページ”ですね。これまでの番組のエンディング曲は〈また明日も会いましょう〉という明るさも含んでましたが、これは本当に卒業の歌だなと実感しますし、個人に寄せた歌詞が私たちの状況に非常にシンクロして。今後、いつ聴いてもこのメンバーの顔が思い浮かぶんだろうなと思いますね」