2008年に日本へ移住し、東京のインディー・シーンでも〈群を抜いた逸材〉として一部で圧倒的な支持を集めてきた韓国系アメリカ人ミュージシャン、ダニエル・クオンがニュー・アルバム『ノーツ』を11月25日にリリース。収録曲“Hop Into The Love Van”の試聴音源がSoundCloudで公開中だ。郷愁を誘うメロディー、フィールド・レコーディングを採り入れた風通しの良い音像、エミット・ローズと『Sung Tongs』期のアニマル・コレクティヴを同時に彷彿とさせるヴォーカル及びアレンジが施された、美しくもストレンジなサウンドが1分弱の短い断片に詰まっている。

ダニエル・クオン ノーツ Pヴァイン(2015)

ダニエル・クオンの経歴を手短に辿ると、Lamp染谷太陽がネット上にアップされていた彼の楽曲を発見し、そこから育まれた交流をきっかけとして2007年に初来日が実現。翌2008年から本格移住し、アンダーグラウンドなシーンで存在感を示しながら、日本人ミュージシャン/クリエイターとの交流の輪も広げていく。Lampのバックアップで制作された2009年のファースト・アルバム『ダニエル・クオン』(日本では翌年リリース)は、今年に入ってLamp主催のレーベル=Botanical Houseよりリイシューされている。さらに2013年には、ほぼすべての録音と編集、ミックスをひとりで手掛けた〈Rくん〉名義のセルフ・タイトル作をリリース。詩的かつヴィジュアル性の強い、どこか歪な音響空間が話題を集めた。

2008年作『ダニエル・クオン』収録曲“A Tiger's Meal”

 

そして今回の新作『ノーツ』では、増村和彦森は生きている)、牛山健小林うてなといったプレイヤーがゲスト参加し、レコーディング・エンジニアをPADOK、ダニエル自身がプロデュースを担当。(アートワークにも通じるものがある)ポール・マッカートニーのソロ初作『McCartney』や、ジム・オルーク『Eureka』のサウンドにも共振する内容で、マルチな奇才ぶりを披露してきたダニエルの名前を一気に全国区へと押し上げそうな一枚となっている。Mikikiではインタヴュー記事を後日掲載予定なのでお楽しみに!