INTERVIEW

東海随一のDJ/プロデューサー・DJ RYOWが語る、ILL-BOSTINOやMACCHOら参加した自身の集大成的な新作『216』

東海随一のDJ/プロデューサー・DJ RYOWが語る、ILL-BOSTINOやMACCHOら参加した自身の集大成的な新作『216』

東海随一のDJ/プロデューサーは夢の途中でもっと強い夢を見る。頼もしい仲間と刺激的にチーム・アップして送るニュー・アルバムは、広い視野で昨日と明日を繋ぐ大作となった!

 2014年のアルバム『#IDWT』では、AK-69PUSHIMをフィーチャーした表題曲で〈俺らはいまだ夢の中〉と一つのステイトメントを提示していたDJ RYOW。名古屋を拠点にDJ活動を行う傍ら、全国各地へのDJ出演やアパレル・ブランドの運営なども行う彼だが、前作のリリース後、その夢がまた一つ具現化した。それが、自身のレーベルとなるDREAM TEAM MUSICの設立だ。

 「レーベルを設立したのは、俺の地場である名古屋の若手MCたちをもっと自分が先導して世に出していきたいな、という思いが強くなってきたのがきっかけ。しっかり音楽をやっている子たちと一緒にチームとしてがんばっていこう、という意識のうえです」。

DJ RYOW 216 DREAM TEAM MUSIC(2016)

 そして、そのDREAM TEAM MUSICから初めてのオリジナル・アルバムとなる新作『216』がリリース。ここで明確に打ち出されているのは、DJ RYOW自身のパーソナルな部分。言い方を変えると、いまのDJ RYOWがどのようにヒップホップと向き合っているか?という部分に焦点が当てられている。自身の誕生日を示すというタイトルや、アートワークにも使用されたプライヴェートなポートレートの数々からも、その強い意識は見て取れる。

 「こんなふうにパーソナルな感情を作品にしたいなんて、いままではなかなかなかったんですけどね。この年齢になって、考え方もちょっと大人になったかなと思います。そして、自分自身の思いを音源にしたいという気持ちが強くなった」。

 もちろんDJが指揮を執るアルバムという性質上、自身がリスナーに直接語ることはなく、ビートを通し、起用するラッパーたちの言葉を通じてしかコンセプトは届けられない。この手法、〈パーソナル〉というキーワードからは真逆のメソッドのようだが、「俺はDJだけど、ラッパーのように明確なコンセプトを構築したうえでアルバムを作りたいと常に思っていて、新作ではその思いが特に強い。今回ビートだけは早い段階から全曲分が出来上がっていて。そのビートごとに自分でテーマを考えながら、起用したいMCの皆さんに声をかけていきました」という行程で制作は進んでいったそうだ。

 イントロに続き、まずリスナーを迎え撃つのはMACCHO"E"qual、そしてMIHIRO~マイロ~という強力な布陣がパワフルに攻めたてる“Born Again”。それはそのまま、新しいレーベルを立ち上げて「新しい自分として打ち出すけれど、根本的なところは何も変わっていない。新しいスタートであると同時に、自分が生まれ変わったという意識もあります」というRYOW自身の内面ともリンクする楽曲だ。また、本作では〈生きること〉と同じように〈人生に幕を降ろすこと〉についても語られている。そこには「今回は自分が死ぬまで聴いていたい、と思うような楽曲を作ることにも重点を置いた」という彼の意図がある。加えて、2004年に26歳の若さで逝去した同郷の名ラッパー、TOKONA-Xの存在も大きい。そんな天国の盟友に語りかけるような “LETTERS”では、TOKONA-Xとは同世代かつ同郷のAK-69と、今回が初コラボとなるSuger Soulを迎え、センティメンタルな一面を見せる。さらに、シーンを見守ってきたヘッズであれば驚嘆するに違いないのが“OUTRO”だ。これはただのアウトロではなく、かつてTOKONA-Xが自身のアルバムに用いたアウトロ音源をDJ RYOWが再編した楽曲。そこに参加するのはTHA BLUE HERBILL-BOSSTINOtha BOSS)だ。リリック内で〈俺等はDISから始まった〉と触れられている通り、BOSSとTOKONA-Xはビーフの存在が取り沙汰された経緯もあった間柄。改めて盟友にDJ RYOWから送るレクイエムとしても響く一曲となっている。

 「BOSS君にはこの曲の背景を話して、〈ポジティヴな曲にしたい〉と依頼したんです。そうしたらすぐにヴァースを返してくれて。こうやってTOKONA-Xとのストーリーを続けることができて嬉しかったです」。

 加えて、TOKONAが所属していたILL MARIACHIをサンプリングして般若をフィーチャーした“ビートモクソモネェカラキキナ 2016”、さらにエピローグとして実際のTOKONA-Xによる2004年のライヴ音源も収録している。

 そしてDJ RYOWといえば、そのコネクションの広さを実感させられるようなゲスト陣の多彩さも特色の一つ。今回もM.O.S.A.D.KOHH、また注目のクルーである¥ENTOWNの面々、Theタイマンチーズといったイキのいいフレッシュな人材から、JinmenusagiZORNら確固たる支持を得る技巧派、もちろんSOCKSSTEALERといった名古屋勢、そして海外からは“U Guessed It”のヒットで世界中を沸かせたアトランタのOGマコも参加している。全編のトラックを手掛けるのはDJ RYOW本人と、その右腕となるトラックメイカーのGrowth。MCたちの多様な個性を見事な手腕でまとめ上げており、国内ヒップホップ・シーンの最先端ショウケース的作品としても楽しめる。自身の夢や生き様と、ヒップホップ的アティテュードとを両軸に並べたアルバムとなっているのだ。

 「2005年からオリジナル・アルバムを作り続けてきましたが、俺のことを知っている人に対しても、そうでない人に対しても、本当にいろんな人に広く届けたいと思うアルバムが出来ましたね。自分の集大成とも言える作品になっているんじゃないかと思います」。

タワーアカデミー
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