INTERVIEW

DJ RYOW『NEW X CLASSIC』 豪華なゲスト陣を従えて過去と未来を掛け合わせた通算10枚目のアルバムを語る!

DJ RYOW『NEW X CLASSIC』 豪華なゲスト陣を従えて過去と未来を掛け合わせた通算10枚目のアルバムを語る!

WHO ARE U ?――着実に夢を積み重ねてきて活動20周年、10枚目のアルバムは豪華なドリーム・チームを引き連れて過去と未来を掛け合わせた超大作だ!

根本は変わらずやれてる

 「アルバムを作ってる時に何枚目なのかな?と思ったら10枚目で、俺いつから始めたのかなあと思ったら20年だったっていうオチなんですけど」と、通算10枚目のオリジナル・アルバムにして、DJ活動20周年を飾る新作『NEW X CLASSIC』について話を切り出したDJ RYOW。2つの大きな節目をこともなげにそう語るのも、本人に「やりたい根本は変わらずやれてる」という実感があってのことだろうし、今回のアルバムでもそこに変わりはない。名古屋を代表するラッパーの故TOKONA-Xともかつて活動を共にしたRYOWの作品に、その存在が影を落とし続けているのもまた然り。新たなクラシック(NEW CLASSIC)を生み出したい、新旧さまざまな要素を融合(NEW×CLASSIC)したいという意気込みに加え、アルバム・タイトルの〈X〉には通算10枚目という意味とTOKONA-Xへの変わらぬ敬意が示されている。

DJ RYOW NEW X CLASSIC DREAM TEAM MUSIC/MS(2018)

 「近かったぶん、余計わかることもあるけど、ああいう人は二度と現れないだろうなって思うし、ビギーや2パックのような存在がいるとしたら日本では確実にトコナメさん(TOKONA-X)だと思ってるんで。俺が大垣の実家を家出して名古屋で出会って、その衝撃でヒップホップを始めた頃と気持ちは変わってないし、アルバムを作るならTOKONA-Xを絶対にフィーチャーしたいと思うし。やっぱり芯のところに勝手にトコナメさんがいるんですよね」。

 彼が立ち上げた新しい制作チーム=Space Dust Clubのトラックを中心とした今回のアルバムは、ミックスも含めて現行のモードを踏まえつつ、抑えた曲調もバランス良く配置。世代を越えた20名近くに及ぶラッパー/シンガーが客演で顔を揃え、初コラボとなるMIYACHIやJP THE WAVYをはじめ、Cz TIGER、前作に続いてのMonyHorse & PETZなど、フレッシュなメンツを多数起用している。

 「初めてやるアーティストにはいちばんやりたいこと、ここでやりたいことをやってほしいなって思ったし、やっぱ参加してくれたアーティストが自分たちのライヴでもやりたくなるような楽曲を作りたくて。だからそれぞれのやり方に合わせて、ビートをこうしたいって言われたらそこに寄せていった。リリックに関しても、俺名義の楽曲ではあるんですけど、それプラス〈お前らしか歌えん歌を作って〉っていうのが最低条件。だから〈好き勝手にやっていいんだよ〉っていう作り方で進めていきましたし、実際みんなけっこう好き勝手やってますよね(笑)」。

 BAD HOPのYZERR & VINGOが〈ここの街じゃ善と悪で人のことを裁けない〉とハードな環境を歌う“City Ain't Change”は、まさに彼らがBAD HOPでも表現する世界そのまま。唾奇との“All Green”では、彼が亡き友に宛てた私信のような歌詞をサビの歌メロでいっそう血の通ったものとしている。一方、歳も1つ違いのKOJOEを迎えた“GngStrr”では、RYOW自身の歩みを振り返りつつKOJOEと内容についてもじっくり煮詰めたとか。ヴァース変わりでアグレッシヴに変わるラップ・スキルとトラックが見事にハマっている。

 「10枚目っていうのと20年やってきたっていうのを話しながら、ここに詰め込んだ自分の気持ちをKOJOEがすごい曲にしてくれた。もともとは違うメロだったんですけど、アレンジも加えてくれてこうなって、そこも俺ら的におもしろかったですね」。

 

DJにしかできないアルバム

 そして、TOKONA-Xのヴァースを現代に蘇らせた楽曲はここでも欠かせない、RYOWが言うところのアルバムの「芯」だ。本編ラストに置かれたのは、かつてTOKONA-XがKalassy Nikoffを迎えたSUBZERO制作の“Let me know ya...”(2003年)の布陣と同じ、AK-69とSUBZEROを迎えた“NEW YORK NEW YORK REMIX”。加えて、これまで3回に渡ってリメイクしてきたRYOW自身の楽曲の新ヴァージョン“WHO ARE U ? 2018”がボーナス・トラックとして収まっている。そこでTOKONA-Xとマイクを回すのは、生前のTOKONA-Xと繋がりのない紅桜とT-PABLOWだ。

 「トコナメさんの曲を聴いてると勝手にリミックスのアイデアが浮かぶんですよね、この人とやったらすごいとこ行けるんじゃないかなとか。あとは俺が聴いてみたいとか。それで“NEW YORK NEW YORK”も作ってみたら、15年以上前の曲なのに生まれ変わるというかホントすげえなって。“WHO ARE U ?”も、ANARCHYと般若くんを招いた前回で俺的には完結かなと思ってたんですよね。いままではトコナメさんと直接関係があった人しか入れてこなかったし。だけど、アルバムを作っていくなかで、いろんな人に伝えていきたいし、世代も繋いでいきたいなと思った時に、リスペクトがあれば世代を越えて入れていいんじゃないかなって。紅(桜)は中学生の頃に津山でM.O.S.A.D.のライヴを観たことあるって昔から話してたし、どこかスタイル的にも(TOKONA-Xに)通じるところもある。T-PABLOWも、BAD HOPのツアーの時に喋ってたら、子どもの頃からトコナメさんとか名古屋シーンの曲もムチャクチャ聴いてきてて、いろいろその当時の話を俺に訊いてきたり。だから今回オファーしたら2人ともすげえ喜んでくれたし、一緒に墓参りも行ったりしたんですよ。それからじゃないとブースに入れないって」。

 その他にも、TOKONA-XがILLMARIACHIで残した一節をサンプリングした"E"qual & DJ RYOW名義のシングル曲に般若と呂布カルマが新たに加わった“モクメのGRIP REMIX”や、RYOWが「昔からのファン」だというPUSHIMとTinaの両シンガーを迎えたもう一つのボーナス・トラック“Be Alive”、SALUとSOCKSが参加した“ORERA NO ERA”など……参加メンツそれぞれの色を活かしつつ一つの流れにまとめるという意味で、「プロデュース・アルバムなんですけど、DJプレイの要素も入ってる、DJにしかできないアルバムになった」と本人も胸を張る。NYでジャケット撮影を行った本作には、3曲のMVに加え、RYOWがTOKONA-Xの遺志を継ぐべく名古屋など各地で続けてきたイヴェント〈TOKAI X BULLSHIT〉の模様を収めたDVDも付く。

 「現場の雰囲気も観てほしいし、ずっとやってきた〈TOKAI X BULLSHIT〉の意味も伝えたかったんでDVDにも入れたんですけど、アートワークとかそういう全部を含めていろいろこだわって仕上げた作品だから、パッケージでゲットしてくれたらいちばん嬉しいですね」。

 さまざまなルートを介してシーンを繋げると共に、ヒップホップというバトンを繋いでいかんとするDJ RYOWの動きは、もちろんこれで終わるものではない。彼の言葉が何よりそれを教えてくれる。

 「名古屋って俺より上の世代にパンチのある人が多いんですけど(笑)、やっぱりその人たちが自然といろんな人を繋げてくれて現在があると思うんすよ。それを俺も後輩とか周りにしていくことが大事。これで俺のことを知った人にはここから遡って聴いてほしいし、ヒップホップの奥深いところまで行ってくれたら嬉しいですね」。

関連盤を紹介。

 

DJ RYOWの作品を一部紹介。

 

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