INTERVIEW

イタリアの名ギタリスト、エマニュエル・セグレが30年以上に渡る自身の分析を形にしたJ.S.バッハ録音盤を語る

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  • 2016.07.15
イタリアの名ギタリスト、エマニュエル・セグレが30年以上に渡る自身の分析を形にしたJ.S.バッハ録音盤を語る

イタリアを代表するギタリストが、満を持してJ.S.バッハ録音に初挑戦!

 今年4月に2年ぶり4度目の来日を果たしたイタリアの名ギタリスト、エマニュエル・セグレ。ソロ、ヴァイオリンとのデュオ、新日本フィルとの協奏曲という3つの多彩なプログラムで、持ち前の高い技巧と柔軟性を存分に聴かせてくれた。そんな彼の最新盤は、伊LIMENから発表した『J.S.バッハ:リュート曲集』だ。

EMANUELE SEGRE J.S.バッハ:リュート曲集 Limen Classic(2016)

 「昨年50歳を迎えた記念に、念願だったJ.S.バッハの初録音に挑みました。30年以上にわたる自分の分析を形するのは今だと思って。あと、今回の日本初のオール・バッハ公演も、録音を決意する大きなきっかけになりました」

 昨年12月から今年1月に行われたこのセッション録音には、《組曲BWV.995&996》《前奏曲、フーガとアレグロBWV.998》の3曲が収録されている。

 「リュート作品をギターに編曲すると、強弱に幅が出て音が明確になり、フレージングも非常に美しくなります。チェンバロをピアノを替えるような飛躍がありますね。あと今回は、全作品の反復をすべて演奏したので、チェンバロ奏者の友人に装飾音に関する詳細なアドバイスも受けました。《BWV.995》は、無伴奏チェロ組曲第5番のリュート版をさらにギターに替えたため、調性は一般的なト短調ではなく、曲想に合うイ短調に替えてあります。《BWV.996》は、流麗なパッサッジョと律動的なフーガの対比が魅力。《BWV.998》は、音色の温かみとスケールの大きさを保ちつつ、幻想性をいかに加味させるかに苦労しました」

 当盤はCDとDVDの2枚組で、同じ作品を耳と眼の双方で楽しめる。

 「映像も同時収録だったので、各曲とも通しで6~8回ずつ弾くスタイルを採用しました。そのおかげで、音楽のあるべき流れを表現できたように思います」

 使用楽器を尋ねると、次のような答えが。

 「私は3本のギターを愛用していて、今回はイタリア・ジェノヴァ在住のカナダ人が製作した楽器で録音しました。使用楽器はレパートリーや会場ごとに変えていて、今回の来日では一番弾きやすく、柔軟性の高いイギリス製の楽器を持ってきたんです」

 11歳でギターを始めたセグレだが、途中ヴァイオリンを本格的に学んでいた時期が約5年もあった。そうした中で養った知識や経験が、サルヴァトーレ・アッカルド(vn)やユーリ・バシュメット(va)らとのデュオにも大いに役立っているそうだ。気になる次回作は、「1年~1年半後を目標に、カステルヌオーヴォ=テデスコのギター作品集か、メンデルスゾーンの無言歌の編曲を録音したいです」とのこと。両作ともぜひ実現を期待したい。

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