〈フジロック〉に出演したロバート・グラスパー・エクスペリメント、カマシ・ワシントンのライヴも大きく話題となったが、このあともハイエイタス・カイヨーテやバッドバッドノットグッドが出演する〈SUMMER SONIC〉、ゴーゴー・ペンギンが出演する〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉など、今年の夏は新世代ジャズ勢の来日が熱い。そこで注目しておきたいのが、8月5日(金)に東京・青山月見ル君想フに出演するエレクトロ・ファンク・ポップ・バンド、ノアー(Knower)だ。

ルイス・コール(ドラムス)とジェネヴィエーヴ・アルタディ(ヴォーカル)の2人は共にLAでジャズを学び、カサンドラ・ウィルソンのバンドで活躍するサックス奏者のロビー・マーシャルのバンドで知り合ったという。現在もLAを拠点に活動するノアーは、ブレインフィーダーの面々との共演や、最近ではスナーキー・パピーの話題作『Family Dinner Vol. 2』(2016年)への参加などで注目度を高めている。ジャズ・ドラマーでもあるルイス・コールの骨太なビートに、ジェネヴィエーヴのキラキラしたハイトーンの歌声が混ざり合うノアーの音楽は、打ち込みを駆使してエレクトリックにマイケル・ジャクソンをカヴァーしたかと思えば、弦楽器を多重録音したチェンバー・ポップを披露したり、人力ドラムンベースと形容すべき高速リズムを叩いたりとレンジが広く、そのどれもが強烈なキャラクターを備えている。

ルイス・コールみずから作成しているミュージック・ビデオにも通底する、ポップでヴィヴィッドな風景をザラリとしたローファイなフィルターで切り取ったような世界観は、YouTubeを通して多くのリスナーを獲得。さらに、ルイス・コールが超絶テクニックのドラミングを見せ、ジェネヴィエーヴが派手なアクションを見せながら完璧なピッチとリズム感覚でスリリングに歌いこなすライヴ・パフォーマンスも魅力的だ(特にスナーキー・パピーとの共演映像では、まるでゲームのキャラクターが画面から飛び出してきたような衝撃を受けるだろう)。そんなノアーは今回が初来日。ベッドルーム・ポップとライヴ・ミュージックを繋ぐような活動を続ける2人にメール・インタヴューを行った。

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――2人の生い立ちと、音楽との出会いについて教えてください。

「ルイスは子供の頃からジェイムズ・ブラウンスティーヴィー・ワンダー、それとクラシックやゲーム音楽を聴いて育ったかな。父親と演奏もしていたよ。ジェネヴィエーヴは、クールなバンドをやっていた親のもとで育っている」

――好きだったり、影響を受けた音楽やアーティストをいくつか挙げてもらえますか。

「2人が共通して好きなのはマイルス・デイヴィス、ギル・エヴァンス、ジェイムズ・ブラウン、マイケル・ジャクソン、ジャネット・ジャクソン、バッハ、リゲティ、トニー・ウィリアムズ、ステレオラブ、スクリレックス、ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、ボーズ・オブ・カナダ、ジェイムズ・チャンス……、他にもたくさん挙げられるよ」

――ノアーの音楽には、同時代のポップスやエレクトロニック・ミュージックへの目配せが感じられますが、そういったことは自分たちでも意識していますか?

「多少はね。でも、ほとんどのポップスは金儲けありきで作られているし、酷い出来だったりするよね」

ブリトニー・スピアーズ“Till The World Ends”のティム・ルフェーヴェル(詳しくはこちら)を迎えてのカヴァー映像

――作曲やアレンジについて、1曲仕上げるのにどのようなプロセスを踏んでいるのでしょう?

「まずはどんなサウンドの曲にしたいのかアイデアを出す。そのあとにルイスがGarageBand‎を使って、最高のファンク・トラックを作る。そこからは一緒にナイスなメロディーや歌詞に取り掛かる――これがいつものやり方だよ」

――生のドラムスと打ち込みのビートを効果的に使い分けていますが、それによってどんな相互作用があるのでしょう?

「どうかな。大抵は生のドラムスに電子ドラムの音を少し乗せているよ」

ノアーの2011年作『Think Thoughts』収録曲“I Remember”

――TVゲームは好きですか? 自分たちのアイコンにもそれっぽいヴィジュアルを採用しているみたいなので。

「スーパーファミコンやNINTENDO64はよく遊んだよ。あとはプレイステーションもときどき。『スーパーマリオカート』や『スターフォックス』、『ベア・ナックル』が好きだったな」

ルイス・コールとMC VDによるボルボ・マフィアの楽曲“Mario Kart Rap”

――ルイスは自分でビデオも制作しているそうですが、ヴィジュアル・イメージに関してどんなことを意識していますか?

「曲をより活き活きとしたものにしてくれる。そんな映像を作ろうとしているだけさ」

ノアーの2016年作『Life』収録曲“Hanging On”

――今回の来日公演はYasei Collectiveとの共演になりますが、彼らに対する印象を教えてください。

「最高のバンドだよね。それにマサ(松下マサナオ)は素晴らしいドラマーさ。今回のライヴもめちゃくちゃ良いものになるよ」

Yasei Collectiveの2016年作『Lights』収録曲“radiotooth”

 


LIVE INFORMATION
KNOWER初来日公演「KNOWER × Yasei Collective」
supported by Mikiki

日時/会場:8月5日(金) 東京・青山月見ル君想フ
出演:ノアー/Yasei Collective
Floor Act:沖メイ(ZA FEEDO)
DJ:高橋アフィ(TAM TAM)
開場/開演:18:00/19:00
料金(1D別):前売り/3,000円、当日/3,500円 
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