2016年7月12日、音楽ライターの南波一海が、新レーベル〈PENGUIN DISC〉の立ち上げを発表した。ミュージシャンから音楽ライターへ転身し、今年は初の単著「ヒロインたちのうた」(音楽出版社)を刊行。数々のメディアに登場するなど音楽ライターとしての地位をますます確固たるものにした感のある彼が、なぜいまレーベルを立ち上げたのか、そしてなぜ第1弾アーティストとしてハコイリ♡ムスメ、Peach sugar snow、RYUTist の3組を選んだのか――その心境を、プロインタヴュアーであり、南波と同じくアイドルを敬愛し続けてきた吉田豪が訊く!

 

すごい面喰らってる

――今日は最初に、どうしても訊いておきたいことがあるんですよ。

「え、なんですか?」

――先日、小林清美先生(K&Mミュージック代表であり、Peach sugar snowのプロデューサー)とのトーク・イヴェントで、南波さんがノー・ツイートを条件に話していたことがすごい衝撃的だったんですよ。〈父親が売れない漫画家で、ずっと持ち込みしてたからすごい貧乏だったんだけど、ジョージ秋山先生が原稿を落としたことで父親の代原が掲載されて、それがアンケート1位になったことで連載も始まって家を買った。売れはじめてから10年ぐらいで父親が亡くなって、その父親が誰なのかは内緒〉ってことでしたけど、今日はまずお父さんが誰なのかを聞きたくて(笑)。

「えー! 勘弁してくださいよ!」

――あんまり気になったんで、すぎむらしんいち先生にも訊いたんですよ。それでも誰だかわからなくて。

「……あの〜、『モーニング』で『警察署長』っていう漫画を描いてた、たかもちげんという人なんですけど」

――え! あの、たかもちげん先生ですか?

「そうです。『代打屋トーゴー』とかの」

――超大物じゃないですか! それは絶対に内緒なんですか?

「そうですね。言ってもしょうがないんじゃないかな?」

――全然しょうがなくないですよ! ものすごくいい話じゃないですか!

「いやいやいや(笑)」

――だって絶対に、そういうお父さんから影響は受けてるわけじゃないですか。普通に就職しないでバンドやってたというのもそうだろうし。

「まあ、そうですね。でも、普通に父親は結構反対だったんですよ。自分は新潟の農家の人なんですけど、農業を捨てて東京に出てきたのが当時、超あり得ないことだっ たから、あんまりそういうことにいいイメージを持ってないみたいですね」

――俺もずっと食えなくて苦労したからってことでしょうね。お父さんは成功する前に家庭まで持ってたわけだから、余計に大変だったわけだろうし。

「たぶん、それもあると思うんですけど。でも、俺もあんまり知らなかったんですよ。ジョージ秋山先生が連載を落としたりとか、そういう話は流石に小っちゃい頃だったからわかってなくて」

――それは絶対どんどん表に出すべきというか、まずジョージ先生に感謝を伝えるべきですよ。〈あなたが連載を落としてくれたおかげで、いまの僕があります〉って(笑)。

「それはずっと思ってはいるんですけどね、心の中では。それ経由でいろいろ調べられたら嫌だなとか思っちゃうんですよね」

――なにか具体的に問題があるんですか?

「いや、特にないですけど……」

――この機会に解禁しちゃいましょうよ!

「嫌ですよ、そんな。遺作が『警察署長』なんですけど、それが『こちら本池上署』ってドラマになって、加護(亜依)ちゃんが出てたんですよね」

――TBSですよね? ボク、TBSの物販コーナーで加護ちゃんの名前入りの「こちら本池上署」手ぬぐいを買って、杉作(J太郎)さんにプレゼントしましたよ。

「その頃、モーニング娘。が好きだったから〈おっ!〉と思いましたよ。自分のイメージでは『代打屋トーゴー』は長く続いた作品だったけど、子供の頃だったからそんなによくわかってなかったんです。週刊誌で連載してるのとか。でも、ドラマで加護ちゃんが出るってすげえなと」

――そこでようやくお父さんを認めた(笑)。

「死ぬ前にそういう一般的なものが作られて良かったなって思ってますね」

――「祝福王」も、たかもちげん作品でしたよね?

「『祝福王』とか、めちゃくちゃ宗教の話で怖かったですよね。中学生ぐらいのときだったかな?」

――ここでオープンにしちゃいましょうよ!

「いや……。わかんないけど、なんか迷惑かかるじゃないですか?」

――どこにもかからないですよ!

「かかんないか、別に」

――むしろ一部に衝撃しか与えない話だと思います。

「でも、知ってる人は知ってるし、別に隠してもいないから。前に西島大介さんとツイッターでその会話をしたことあるし、『モーニング・ツー』をやってた島田(栄二郎)編集長は父親の編集もやってたことがあったんで、少しだけやり取りもしてましたよ」

――じゃあ出しても大丈夫なんですね。嶺脇育夫社長が〈T-Palette Recordsの宣伝になれば〉ということで、「タモリ倶楽部」とかで子ども好きな部分をいじられてきたのと同じで、これもレーベルの宣伝になればっていうことで。

「……まあ、いっか」

――やった!……さて、そんなたかもちげん先生の息子さんが、今回PENGUIN DISCというレーベルを作られたということで。

「ハハハハハ! 全然関係ねえ(笑)。バンドを辞めてからまだ10年経ってないぐらいですけど、ずっと一人で仕事してきたじゃないですか。それがレーベルを始めるといろんな人が関わるようになるから、複数で仕事をすることのやりにくさを知ったというか」

――これまで会社員経験とかもないわけですよね。

「ホントにほんのちょっとだけしかないですね」

――つまり、今回のレーベル仕事でほぼほぼ初めてちゃんとした大人の世界に入れられた感じというか。

「だから、すごい面喰らってるんですよ(笑)。メールの量とか半端ないし」

――ボクもそうですけど、フリー・ライター業って結構メールを後回しにしがちじゃないですか。 そんなことよりも締切がヤバイ原稿が先だから!って感じで。

「そうそうそう。いま、そのメールの量とかスピード感に結構ヤラれてるっていうか。単純に細かいことの確認がめちゃくちゃ多くて、それはちょっと大変だなって思ってます。なんでレーベルやることになっちゃったんだろう……」

――どうしてそんなネガティヴな話になっちゃうんですか! ただ、まず最初に思ったのがそこなんですよ。ボクも〈アイドルのプロデュースやりませんか?〉的なオファーに対しては〈絶対やらない〉って公言してるんですけど……。

「ずっと言ってますよね」

――絶対に中には入りたくない、外側にいたいってことで。ましてやボクらは、嶺脇社長の苦労を見てるわけじゃないですか。T-Palette Recordsを立ち上げたことで、絶対それは社長のせいじゃないのにっていうようなことでもネットで叩かれたりするのを何度も見てきたから、普通だったらやらないと思うんですよね。

「そうですよね。だから俺もかなり最初の段階で、豪さんにどう思われるんだろうっていうのは思いましたけど(笑)」

――気にしたのは、まずそこ(笑)。

「でも、ギリギリのところで作るものには絡まないとか、自分的に着地点はあるというか。基本的にいいものを伝えるっていうスタンスは変わらないから、それでいいかなと思って」

――ただ、そこは嶺脇社長も同じようなスタンスなのに叩かれちゃうわけじゃないですか。運営サイドが作るものには全然タッチしてないのに。

「そうそうそう。でも、それが仮に絡んでるように見えちゃったとしても、実際はそこまで制作にタッチしないからいいかな、ぐらいには思ってて」

――それでも確実に誤解はされちゃうというか、〈レーベルに入ったことで方向性が変わった、全部あいつのせいだ〉みたいに言われたりもすると思うんですよ。

「すでに〈TIF〉の段階で〈ハコムスがやってた夏曲は南波さんの趣味が出てる〉とか言われてました(笑)」

――楽曲にはタッチしてないのに(笑)。

「俺なんにもしてないし、入る前からある曲だし。でも、そう言われちゃったりして、ちょっとビックリしましたけど。まだわかんないですね、音源が出てからどうなるかは。とりあえずビックリはしてるし、こういう発言も自分一人の発言じゃないから。例えばこれを読んで、アーティスト側が良くないって思うようなことは言いたくないから、すげえ気を遣います」

――それってインタヴューする側のときは全然気にならなかったことですよね。むしろ、〈なんだよ、歯切れ悪い人だな〉ぐらいに思ってたのが、〈こういうことだったのか!〉って気付くという(笑)。

「そうそうそうそう! めっちゃ気になるんですよ、こんなこと言ってハコムスサイドが怒ったらどうしようとか、RYUTistの学校の人が気にしたらどうしようとか」

――いままでは笑いを取れればいいかって感じで言ってたことが、いろいろ気になるようになってきて。

「そうなんですよ。8月8日のPENGUIN DISCお披露目イヴェントのときに、いつもの調子で喋ってたらちょっと注意されちゃいまして。〈もっとちゃんと紹介してください〉みたいに言われて、確かにそうだなと思って」

――いままで「真夜中のニャーゴ」や「アイドル三十六房」みたいな番組に運営の人を呼んでいたときとは違って、もっと責任のある立場になったわけですからね。

「そうなんですよね、それはちょっといま困ってるというか……」

――……今日は困ってる話をするインタヴューなんですか?

「いやいやいや、がんばらないとなっていうことです!」

 

ペンギンみたいに身を寄せ合って冬の時代を乗り切ろう

――南波さんは特にここ1年ぐらい、アイドルバブル的なものに陰りが見えてきたみたいなことを公言してるわけじゃないですか。

「そうそうそう」

――そういう人がよくこのタイミングでレーベルを作ったなっていうのが、まずあるわけですよ。

「それは結構明確で、とにかく基本的にそういうことに関して何も言ってこなかったんですけど、人がどんどん辞めたりグループが解散したり、CDが売れなくなってきたりとか、そういうことを無視して原稿を書いたりするのは変だなと思って。逆にそれに関しては、積極的に記事に書いていかないと不自然かなと思ってやることにしたんですけど。その一方で『アイドル三十六房』とかもそうですけど、自分が動くことで知ってもらえることは確実にあって。多少貢献できたかなっていう自負はあるんですよ。例えば里咲(りさ)さんとかが最初に広まるきっかけになったり、そういうのって何もやらなかったら何も生まれなかった気もするんで」

里咲りさの2016年作『売れるまで待てない』収録曲“Little Bee”
 

――そこは大きいですよね。

「だから、そうやって陰りが見えていくなかで、ちゃんと知ってもらうための作業をすることはむしろ大事なんじゃないかなと思って。もしここで何もやらなくても、別にRYUTistも続いていくとは思いますけど、なんとなくしぼんでいっちゃうかもしれないと思ったのもありますよね。それと、RYUTistはいまだってそれなりに成立はしてるんですけど、でも広がりが欲しいっていうところで〈一緒にやりたい〉って言ってきてくれたという経緯もあるので、そこはあんまり矛盾してないというか」

――ジャンルとして落ちてきつつあるからこそ、なんとかしないといけない。

「そうですね。もろにPENGUIN DISCっていうレーベルのロゴがそうで、これ酒の席で言ってた話なんですけど、また冬の時代が来るからペンギンみたいに身を寄せ合って乗り切ろうというのがコンセプトなんですよ」

――あ、そういうことなんですね(笑)。ふたたびアイドル冬の時代が来るのは確実だっていう前提で。

「それも後ろ向きだから、あんまり公には言ってないんですけど。ロゴを作ってくれたナカGさんにも、〈コンセプトが後ろ向きだからペンギンも後ろ向きがいい〉ってお願いしてるんですよ。だから、身を寄せ合ってがんばろうよってやっていけたらいいかなっていうところで」

――南波さん、以前のアイドル冬の時代は経験してないわけですよね?

「90年代ですよね、全然わかってないですね。中学生ぐらいのときにCoCoのラジオとか聴いてましたけど、それが冬の時代だとも思ってなかったし」

――普通にラジオ番組やってるぐらいですからね。

「そうそうそう」

――乙女塾ぐらいだと、Qlairにしてもコンサートはホールで普通にやってたし。

「そうなんですよね。Ribbonとかも普通に有名だったから。だからそんなに自分はわかってないんですけど。でも、どっちにしろそんなに詳しく聴いてなかったですからね」

――いままた冬の時代が訪れそうな空気は確実にありますからね。

「ここまで定着したから、アイドルを誰も聴かなくなるっていう状態はもうあり得ないと思うんですけど、でも絶対そうはなるじゃないですか」

――最近ニコ生とかやってて実感するのは、コメントで〈アイドルの話は飽きた〉っていうのがたまに来るようになったんですよ。でも、こっちはその感覚がわかんなくて。アイドルは飽きる飽きないじゃなくて、中学生ぐらいからずっと好きで聴いてきたものだから。

「オタクの人でも、なんとなく『フリースタイルダンジョン』に流れるとか、そういうのが見えるじゃないですか」

――アイドル自身がそっちにハマってるし。

「そうそうそう、だからそういうのはあるんだろうなとは思ってるんですけど。自分もそういうところはあるし、やっぱり流行ってる音楽はおもしろいからっていうのはあるんですけど、ちょっと覚悟を決めたっていうのはありますよね」

――南波さんは特殊な立場というか、普通、音楽ライターの人ってもうちょっと幅広く仕事するじゃないですか。もともとアイドル畑にいた人でもないし、映画も好きで他の音楽も幅広く聴いている人なのに、8割方がアイドルの仕事になってるっていう。

「そうなんですよね。それは『CDジャーナル』の川上(健太)さんと仕事してたらそうなったっていうのがデカイですね」

――川上さんも、ちょっと遅れてアイドルにハマった人で。

「そうそうそう。どっちかっていうと川上さんはももクロがワーッとなって疎外感を感じて、もう構ってもらえないっていうか……」

――ももクロを表紙&巻頭にしたことで方向性が変わった雑誌ですからね(笑)。そのときのももクロ特集に南波さんも原稿を書いたことで、アイドル仕事が増えていって。

「で、相談はされてたんですよ、なんかないですか、みたいな。もう一回ももクロみたいなことをやりたいっていうところで」

――そこで、ちょっと不遇の時期だったハロー!にハマる、と。

「ハロプロはずっとあるし、それこそ好不調はあったとしても絶対に需要はあるところだからいいと思いますよって言って。その頃ちょうど9期メンバーが入ったところで、〈モーニング娘。がちょっとおもしろいんですよ〉って話をして、ハロコン行って、その年の冬に10期が入ったタイミングで表紙に出して。そしたらオタクになっちゃいましたね(笑)」

モーニング娘。の2012年のシングル“ピョコピョコウルトラ”
 

――完全におかしくなりましたからね。

「そんなふうにやってるうちに、川上さんがアイドルの仕事ばっかり振ってくるようになって。その前はいろいろやってたんですけど、ユーミンとか小山田(圭吾)さんとか。でも、もう全然振ってくれなくなっちゃって(笑)。そういう仕事をしてると、J-Popとかの仕事をやってたところも、〈南波さん、いまアイドルですよね〉みたいになっちゃうから、しょうがなくというか……」

――気がついたらアイドル・ライターになっていた。

「いまでも他の仕事を振ってくれる人はたまにいるし、こないだ出たプリンスの本とかでも原稿は書いてるんですけど、ほぼアイドルですね。それでいいかなと思ってます」

 

Peach sugar snow
 

Peach sugar snowがどうなるのか気になる

――そんな人がアイドル専門レーベルをやることになったきっかけは、新潟での酒の席での話だったわけですよね。嶺脇社長とナカG先生と……。

「あとRYUTistの安部(博明)さんと。RYUTistも思ってるところがあったみたいですね。わっかー(大石若奈)が辞めるってなったときに、やっぱりずっと現状維持していても、意外と女の子たちはモチヴェーション下がっちゃうかなっていうのは思ったみたいですね」

――地元を拠点にいい音楽を作って、ある程度の人が地元に観に来て、たまに東京に来る状態を保っていても。

「そうそう、だから進路が来たときに迷っちゃうというか、これ続けてていいのかな、みたいになっちゃうというか」

――Negiccoみたいにわかりやすく階段を上がっていってる実感が得られないと、たぶんどこかで限界が来る。

「そういうことなんでしょうね。RYUTistですらそうなんだと思って」

RYUTistの2015年作『RYUTist HOME LIVE』収録曲“太陽のシルエット”
 

――小中学生ぐらいだったら楽しいだけでやり続けられるだろうけど、高校3年生ぐら いになると現実が目の前に来ちゃうわけですよね。

「大学進学もあるしっていうところで。だから、もうちょっと右肩上がりなやり方じゃないといけないのかなっていうのは思いましたね。僕も思ったし、安部さんとかRYUTist側も思ったと思うんですよ。経済的にはそこで成立してるけど、CDの利益をタワーレコード側とシェアすることになっても、ちょっと世界を広げたかったっていうのがあったんだと思います」

――ぶっちゃけ、レーベルに入ることで金銭的なメリットはあまりないわけじゃないですか。収入自体はおそらく減っちゃうわけで。

「そうなんですよ」

――だから、それ以上のメリットを見せてあげなきゃいけない。

「そこですよね。ハコイリ♡ムスメとかもそうですけど、現時点で全然成り立ってるんですよ。なんですけど、やっぱりずっとそれでやってても、メディアに出る機会とか、より大きな会場でやっていく展開にはなかなかなっていかないから、知ってもらう人を増やさないとっていうところで決断してくれたと思うんですよ。みんなそうだと思うんですよね。いろんなところから声がかかっても、メジャー行っても良さそうだなって人が行かないのってそこじゃないですか。そこでより広く知ってもらうことを選ぶか、小さい人数で利益をちゃんと出すことを選ぶか。それについては結構話しました。だから、それもプレッシャーになっちゃって(笑)」

ハコイリ♡ムスメの2015年のシングル“微笑みと春のワンピース”
 

――外から見てても相当大変だろうなと思いますよ。

「いまは〈実際、どう広げられますか?〉みたいな状態なんで」

――それは運営もファンもみんなそうだと思います。

「だからがんばらないとなって。単純にラジオでかけるとかだけじゃなく」

――ものすごい覚悟を求められている。

「そうなんですよ。俺だけじゃなくてタワーレコードのスタッフさんもプレッシャーはあると思います。スタッフさんの数が増えてるわけじゃないから、大変そうだなって」

――南波さんの飄々としたスタイルのままじゃやっていけない感じになるんですね。

「ね、どうしようとは思ってますけど。でも、わかんないですね、まずは出してみないと。ただ、こないだ新潟でツーマンやったんですけど、普通に感動しちゃって」

――RYUTistとハコムスとで。

「全然交流がなかったグループだから。もちろん単純に自分の好きな組み合わせなんですけど、コラボとかが想像以上に良くて。すごくポジティヴな気持ちになれたんですよね。例えば、永井ルイさんがハコムスの曲を書くのもあり得るなと思って。それはすごい合うはずだから。そのへんはめちゃめちゃ希望を見い出したというか。意外とわかんねえなと思ってたけど、実際目の当たりにしてみたらすごい良かったから、いまはすごいモチヴェーションが高い感じではあります」

――その2組を観た翌日は小林清美さんとトークショウをするっていう、かなりPENGUIN DISCな流れになってきてるんですね。

「Peach sugar snowはどうなるのか気になりますけどね」

――ちょっと不穏な空気が流れはじめているから。

「不穏ですよ、ホント。愛菜ちゃん心配ですけど……」

――こういうことも、なかなか書きにくくなるわけですよね。

「そうそうそう」

――前から小林清美先生に関しては、大阪で南波さんとボクが司会で、旧Peach~というか旧メンバーの桃香ちゃんとかとイヴェントをやってたときもなんとなく感じたことじゃないですか。最高におもしろいし可愛らしい人ではあるんですけど、だからこそ小林清美先生が一緒にトーク・コーナーとかに出るとアイドルの良さを消しちゃうというか……。

「そうなんですよね。曲だけ聴いてるとわかんないですけど、実際に接してみると小林さんのアイドル性が高すぎて。その問題がちょっと」

――運営も一緒に上がって話してもらうと完全に光を消されるし、じゃあメンバーだけでってなるとあまり喋れないし。

「そうなんですよね。だからその2組とPeach~はちょっと別ですね。経緯も別ですし」

――それこそPeach~に関しては、売れるきっかけというか世間に届くきっかけを作ったというか、音楽性が変わるきっかけを作ったという意味で、相当関わりが深いわけですからね。

「そうなんですよね。だからそこは責任持たないといけないなっていうのもあり」

――最初のCD-Rを聴いて、〈声ちっちゃ!〉って言ったところから始まってるっていう。

「〈声ちっちゃ!〉って言ったらね……」

Peach sugar snowの2013年のシングル“じゅもん”
 

――〈もはやウィスパーですよこれ〉みたいなイジりも入って。

「で、〈ウィスパー・ヴォイス? はて?〉みたいな感じでこの路線をやりはじめちゃった。そこの責任はあるから。だから、なんとかしないとって気持ちはありますよね……どうしたらいいんですかね」

――難しいですよね。ボクらは小林清美先生側をおもしろがりすぎてるんですよ。

「そうそう(笑)。でも、ホントにおもしろいじゃないですか。3人組だったらまた違ったかもしれないんですけどね。まあ、だから小林先生もまた2人組にしたんだとは思うんですけど、2人になったらそれはそれで危うい感じになっちゃって」

――音楽的にもおもしろいし、当然推せるグループではあるんですけど。

「そうなんですよ。本人たちがどれだけライヴをやりたいのかもちょっとわかんないから、個人的にはレコーディング・アーティストみたいな感じでもいいかなとは思うんですけどね。そんなに表には出てこない、みたいな。それでビジネス的に成り立つかは知らないですけど、作品は毎回ホントにすごいのは間違いないんで」

Peach sugar snow キミと僕のwhisper PENGUIN DISC(2016)

Peach sugar snowの2016年のミニ・アルバム『キミと僕のwhisper』収録曲“私キミに恋してる”
 

――ライヴはK&Mミュージック新宿店でしかやらないぐらいの。

「そうそうそう、それでもいいのかなとか思ったりするんですけどね。でも、何か必要ですよね。テコ入れじゃないけど。何を考えてるのかを訊きたいなって思いますけど、先生とメンバーに」

――聞き出しすぎて載せられなくなる可能性もありますけどね(笑)。

「最終的には小林先生とアーティスト契約するしかないっていう気はしてますけど(笑)。ファンの人も、もはや小林先生に付いて行きますみたいな感じじゃないですか」

――小林先生のダメな部分もみんな理解したうえで応援してる感じというか。

「だから、ぶどうねこが好きでとかそういうことではなくて、小林先生がやることが……」

――どうにも気になるという。子ども好きが集まってる現場ではないですよね。

「だと思うんですよね。3人時代のPeach~は違ったのかもしれないですけど。これに関してはなんて言えばいいのかわかんないです。好きだしどうにかしたいっていう気持ちもすごい強いんですけど、そもそもどうしたいかってあんまりわかってないところもあるんで」

――小林清美先生のあの感じだと、どうしたって反抗期の子たちとはぶつかるだろうし。

「その矛盾がね」

――だからといって小林先生が変わっちゃうと小林先生の魅力がなくなるし。

「そうなんですよ。作品がいいのは間違いないし、広めたいと思ってるのは変わらないんですけどね」

 

RYUTist
 

音楽をいじるんじゃなくて、良さをそのままの形でもっと伝わるように

――次にRYUTistに関しては、一番深く関わってる関係者が南波さんとボクとナカG先生みたいな感じですよね。

「ホントそうですよね、古くからの付き合いというか。だからやりやすいっていうのはもちろんありますけど。RYUTistがすごくおもしろいなと思うのが、メンバーがこないだナタリーで軽くインタヴューされたんですけど、〈目標とかあるんですか?〉って訊かれても何も出てこないんですよね」

――あのガッツのなさは異常ですよね。自己アピールすべきときにやらない。〈TIF〉でもそうでしたけど、肝心のMCでは……。

「ゆるキャラの紹介して(笑)」

――しかも、それで怒られるっていう(笑)。

「時間は守ってるのに、舞監の人が気になっちゃうっていう。急にゆるキャラをじっくり紹介しはじめるから、時計見たら全然時間通りなのに、あまりにもあそこだけ緩やかに時間が流れちゃったから怒り出して(笑)。それぐらい無欲な感じではあるんですけど。ずっと素振りをやりまくってたら、めちゃめちゃバット・コントロールできるようになっちゃったみたいな人たちじゃないですか。だけど、大きな舞台でそれを見せる機会がまったくないから」

――たまに〈TIF〉に出るぐらいで、それも毎年ではないし。

「そうそうそう。地元の大きなイヴェントもあるかもしれないけど。例えば野音とかで観たいなと思ったときにも、特にそういう目標を設定してやってこなかったし。そういうのがなくていいのかなと思うところもあるし、実際に観てみたいっていうのもあるじゃないですか、あれだけすごいパフォーマンスができるから」

RYUTistの2016年のライヴ映像
 

――比較的ボクは新潟で共演する機会があるからよく観てるけど、東京にいたら普通そんなに観られないですからね。

「そうなんですよね。あれだけすごいことできるし、あれだけすごい音楽やってるのに」

――あれだけ楽曲のレパートリーがあるグループもないですよね。

「ホントですよね。しかも全部高いレヴェルでできるから。本人たちもそういう欲を持ってほしいというか、もうちょっとたくさんの人に見られても通じるんだよっていうか」

――あれだけすごいアルバムを作ったんだから、もっとちゃんと届けなきゃってことですかね。

「そこですよね、ホントに傑作ですから。安部さんもすごいものを作ろうっていう気概に満ちてはいるけど、それを届けようっていう段階でちょっとわかんないなってなっちゃうんですよね。それはあんまりやってこなかったところだと思うから、タワーと僕とで何かできたらいいなとは思っていて」

RYUTistの2016年作『日本海夕日ライン』収録曲“日曜日のサマートレイン”
 

――ハコムスも単純にCDが入手しにくいグループでしたからね。Amazonで多少扱いはあったけども。

「もう廃盤ですしね。ハコムスも思ったより全然知られてない感じなんですよね。2年前にアイドルネッサンスと〈AKIBAカルチャーズ 劇場夏の新人公演〉でほぼ同時スタートみたいな感じで、自分が観てるなかでは5組のなかでこの2組がダントツ良くて、このまま競っていくものだってずっと思ってたんですけど。でも、その後の感じを見ていくと差が開いてしまったというか。そこはなんでだろうなと思ってたんですけど、やっぱりそういう手段がわからなかったというか。わりと小規模な範囲で成立しちゃってたのもあるだろうし」

アイドルネッサンスの2016年のシングル“君の知らない物語”
 

――あまりガツガツ上をめざさなくても、ビジネスが成立しちゃってたってことですよね。本業は女優業っていうのがまずあるし。

「そうなんですよね。だけどオリジナル曲もすごくいいし、あんなふうにできるんだったらもっと聴いてもらったほうが絶対いいだろうっていう。それこそ乃木坂とかああいうふうにヴィジュアルがいいグループがちゃんとアイドルとして強いじゃないですか。だったらそれをもっと活かさない手はないだろうと思ってはいたので。広まるといいなって思います。現状ハコムスに関しては、楽曲派みたいな人たちにもまだ刺さってない感じだと思うので」

ハコイリ♡ムスメ
 

――楽曲派を名乗る以上、本来ならアイドルのいい曲だったら全部好きってなるはずなんだけど、どうも最近はシティー・ポップ的なものに寄りすぎてる気がするんですよね。いわゆる冬の時代感がある正統派アイドル・ポップの良さみたいなものについては、そんなに語られないっていう。

「そうなんですよね。なんかディスコ感があるとか、ちょっと前だったらPerfume的なアプローチのエレクトロ・ポップとか、そういうのはわりとすぐ飛びつくけど、ホントに普通に良く出来たメロディーと歌詞のアイドル・ポップスみたいなものはあんまり評価されないみたいで。それっぽいカッティングが鳴って、ブラスが鳴って、ちょっとソウルフルだったらいいみたいなのって、結局何も聴いてないじゃん、みたいに感じるところがある。パブロフの犬みたいに、それが鳴ってれば反応するという話じゃないですか」

――何批判だろう? ●●●?

「いやいやいや(笑)。●●●は多分にそういうところがありますけど。宇多丸さんがどうとかじゃないですけど、『マブ論』的な評価基準があって、それに該当しそうなものは自動的に評価される、みたいなものもある気がして」

――最近で言えばふわふわとか、楽曲派っていわれる人たちってあっちに行かないんですよね。

「そうなんですよね、あれホント不思議で。アレンジ面を聴いてるんだなと思います……そこじゃないところの良さは裏テーマではあるというか、RYUTistも実はいいメロディーとは何かってすごく考えているから、そこを聴いてもらいたいなっていうのはめっちゃあって。Peach〜もそうですよね、ウィスパー・ヴォイスが目立ってますけど、やっぱりメロディーがすごくいいから」

ふわふわの2016年のシングル“恋のレッスン”
 

――そこに絶望的な歌詞が加わって。

「そうそうそう。そこがもうちょっとどうにか伝わらないかなって。わかりやすいキャッチーさとは違うところなぶん、やりがいはあるなというか、おもしろみはあるなと思ってますけどね。難しいじゃないですか、RYUTistのどういうところがいいですかって言われると。〈ディスコティックで〉みたいに言えたら楽かもしれないですけど」

――音楽性も異常に幅広いし。

「だからそこをどうにかしたい。音楽をいじるんじゃなくて、その良さをそのままの形でもっと伝わるように、と。ハコムスなんてイケると思うんですよ、楽曲派の人がハマッたら。楽曲派の人はなんだかんだ、可愛い人が好きだし」

ハコイリ♡ムスメの2015年の楽曲“なかよし”
 

――基本は曲重視だけども、オプションとして可愛かったらそれに越したことはないから。

「そうそうそう。だからホント、ちょっとしたきっかけでワーッと広がる気はしてるんですよね。だってアイドルネッサンスにライヴの票では負けてたけど物販の票で競って勝ったグループなんで、物販がめちゃくちゃ強いんですよ。それだけ人間的な魅力がめっちゃある人たちなんで、曲の良さも伝われば上手くいくんじゃないかなって思ってはいるんですけど」

――レーベルの代表が音楽ライターであるメリットって、何か活かせそうですかね?

「避けちゃってるんですよね、そういうところ」

――例えばブックレットに必ずインタヴューが付いてくるとか、毎回サイトで曲の解説を書くとか、何かそういうこともできる気はして。

「それこそRYUTistの『日本海夕日ライン』を聴いたときに、ちゃんとこの新潟の名所と曲の背景を説明する豆本とかがあったらいいなって思ったんですよ。そういうのだったら自分はできるなと思って。作家さんに話を聞いたり、そういうのはやりたい……なんかやらなきゃいけないですよね」

RYUTistの2016年作『日本海夕日ライン』収録曲“海岸ROADでオトナッTunes!”
 

――やるべきですよ!

「やりたいんですけどね、求められれば。普通にハコムスの曲を作ってる作家の方も、たぶんそこまで知られてないと思うんで、ちゃんとしたインタヴューとかしたいなと思ってます。ハコムスのオリジナル曲って明確に元ネタがあったりするんですよ。“夏に急かされて”だったら三浦理恵子の“水平線でつかまえて”とか、そういうのを説明できるところがあったらおもしろいなと思いますね」

 

売れても売れなくても叩かれそうだからなぁ……

――あと珍しいのは、自分もレーベルに所属した経験のある人がレーベルを作ってることだと思うんですよ。

「そうですね。だからレーベルっていうのはいつかなくなるものだっていうのも、なんとなくわかってるんですけど(笑)」

――ダハハハハ! 立ち上げ早々やめてくださいよ(笑)。

「音楽ファンとしてもそれはホントに思ってはいるんですよ。続いてるのはホントにひと握りじゃないですか。だから、どうがんばっていけば長く続けられるんだろうとか、すげえ思ってます」

――あのとき〈□□□のこの方向性はおかしい!〉〈お前のせいだ!〉とか、坂本龍一さん(□□□が所属するcommmons主宰)が叩かれることはなかったと思うんですよ。そこがアイドル・レーベルとの違いで(笑)。

「ハハハハハ! だから難しいな……。そう思うとT-Palette Recordsはすごいですよね。続いてるから。嶺脇さんは別として、〈この人がレーベルやってます〉っていうのが前に出ることってそんなにないと思うんですよ。FUJIYAMA PROJECT JAPANでしたっけ? sora tob sakanaの」

sora tob sakanaの2016年作『sora tob sakana』収録曲“夏の扉”
 

――あれも誰がやっているかは前に出してないですもんね。

「それに、こうやってインタヴューしてもらえる機会もそんなにないと思うんですよ、レーベル代表みたいな感じで。そこは変な話、活かせたらなとは思ってます。自分の名前でレーベルを知ってもらえる機会があるんだったら。そこは利点と思ってやっていきたいです。ホントは嫌なんですけどね、自分の話とかするのは」

――イヴェントでも〈僕の話とかみんな興味ないから〉って毎回言うじゃないですか。でも、これからは宣伝のためと割り切っていろいろ言っていかなきゃいけない。

「そこはがんばらないとなと思って」

――今日もお父さんの話から始まることでネットでも閲覧数が確実に増えたりするはずだから、そこは割り切ったほうがいいですよ。

「そうですね。だからホントは嫌だし誰も興味ないと思うんですけど、あんまりないことだとは思うから、出ていこうかなとは思ってます」

――ザックリまとめると、〈いい音楽を広めるために、あえて叩かれる覚悟で立ち上がりました〉ってことでいいんですよね?

「ホントそうです。ハコムスとRYUTistとPeach〜が広がるんだったら、それくらいいいかなっていうのはあります。逆に利用してほしいなと思うし。さっき利益が減っちゃうって話になりましたけど、倍以上売れば利益もそれだけ増えるわけですから。増やしていきたいなと思いますし」

――この先、〈Tパレ感謝祭〉の司会に南波さんも加わる感じになるんですかね?

「加わりたくはないですよ! だって、そんなにいっぱいいてもゴチャゴチャするだけじゃないですか(笑)」

――毎年、司会やっててボクも不思議に思うんですよ。Tパレ立ち上げ会見の司会がボクだったから恒例になっているだけで、〈三十六房〉的に考えても嶺脇社長と南波さんが司会したほうがしっくりくるんじゃないかなって」

「ずっとそうじゃないですか、原宿アストロホールからずっと豪さんと嶺脇さんできてるんで、そこはやっていただいて」

――でも、レーベル代表としてはああいう場にも関わらざるを得なくなるじゃないですか?

「えぇーっ? 僕は横で観てますよ。NegiccoとRYUTist、アイドルネッサンスとハコムスがバチバチするのをニタニタして(笑)。キャラ的には特にバチバチしない可能性が高いですけど(笑)」

――現状ではこの3組をなんとかしなきゃって状況だから、所属グループを増やそうとかっていう発想はまだないですよね。

「まったくないですね。〈レーベルに入れてくれって言われるよ〉とか嶺脇さんに言われたんですけど、いまのところ二丁ハロにしか言われてないです(笑)。〈こんなに南波さんやハコムスと関係あるグループは私たちしかいないから、必然性しかない!〉とか説得されて。俺も二つ返事で〈いいよ〉とは言ってるんですけど」

――言ってるんですか(笑)。

「言ってますよ。でも、なかなか3組で手一杯ではありますから。誰か来るのかなあ?」

――いい感じになったらってことでしょうね。とにかく、これで信用を失うことになったらヤバイし、相当覚悟決めなきゃいけないですよ。本業にも影響する可能性ありますからね。

「ホントそうですね……でも、〈三十六房〉を始めるときもそういう気持ちではあったんですよ。だから1コ1コそういうリミッターを外しているというか、一歩一歩踏み入れてる気持ちはあって。ライターとしてアイドルばっかりやるようになったときもそういう気持ちだったし。だからいいんじゃないかな」

――人の人生を変えるかもしれない活動って、プレッシャーはあるけど、すごくやりがいもありますからね。

「ホントそうですね。実際、小池美由ちゃんとか見てても、そういうのに関われたっていうのは良かったなと思うし」

小池美由の2015年のシングル“泣き虫Princess”
 

――ブレイクになるきっかけを作ったというか、「ゴッドタン」に見つかるきっかけを作って。

「光栄ですよね。そこは責任が重かったりもしますけど、なんだかんだ楽しいので」

――この先、南波さんがどういう叩かれ方をするようになるのかにも注目ですよ(笑)。

「どうなるんですかね。売れても売れなくても叩かれそうだからなぁ……」

――そういう役割だと思うしかないですよ。

「そうですね。ハコムスって基本、女優業がメインだから卒業/加入ってこれからもいっぱいあると思うんですよ。それでなんか言われたりもするのかな」

――ヲタとしても〈俺たちのものでいてほしいのに、物販でがっつきづらくなるじゃねえか!〉って想いもまずあるだろうし。

「ああ、大きくなったら変化はあるでしょうね。でも、それこそRYUTistとハコムスでイヴェントをやって、この組み合わせいいじゃんってなってもらえたりもするから、そういうことをきっちりやっていくしかないと思ってるんですけど」

――地道に信用を得られるようにしていくしかない立場ですよね。

「そうなんですよね。だから記念撮影とかも避けていかないといけないんですよね。こっち的には〈記念撮影に入ってください〉って言われた一枚でも、ファンからしたらいくらお金を積んでもできないことだったりしますからね」

――〈おまえ、なんで無銭でやってるんだ!〉みたいな。

「そうそうそう(笑)」

――それはボクもよく思いますよ。こっちから〈写真を撮りましょう〉って言ったことないのにっていう。

「そうそうそう! ただの記念写真の一枚なのに。それ以上でも以下でもないんだけど。例えば、〈TIF〉である女の子が水着でチェキやってたんですよ。たまたま通りかかって運営の人に声かけられて、〈南波さん、こいつ水着だからチェキ撮りましょうよ〉みたいに言われて、〈嫌ですよ〉って言ったんだけど流れで撮ることになって、お金も払ったんですけど、すごい列が出来てて、全部終わったあとに撮ったんですよ。だから〈鍵閉めを南波さんが持ってった〉って言われて」

――お金を払ったことで、むしろ同じ立場になっちゃったんでしょうね。

「難しいですよね。仕事とか態度で示していくしかないじゃないですか。ハコムスやRYUTistって大事にしたいと思っている人が多いから難しいです……ヤバイ、こんな話しかできない!」

――でも、覚悟は伝わりましたよ。大変だけどやりがいがあるってことですよね。

「ホントそうです、そこです!」

――怒られないようにまとめますよ。