INTERVIEW

吉田豪が〈PENGUIN DISC〉を立ち上げた南波一海に訊く、音楽ライターがいまアイドル・レーベルを始める理由

売れても売れなくても叩かれそうだからなぁ……

――あと珍しいのは、自分もレーベルに所属した経験のある人がレーベルを作ってることだと思うんですよ。

「そうですね。だからレーベルっていうのはいつかなくなるものだっていうのも、なんとなくわかってるんですけど(笑)」

――ダハハハハ! 立ち上げ早々やめてくださいよ(笑)。

「音楽ファンとしてもそれはホントに思ってはいるんですよ。続いてるのはホントにひと握りじゃないですか。だから、どうがんばっていけば長く続けられるんだろうとか、すげえ思ってます」

――あのとき〈□□□のこの方向性はおかしい!〉〈お前のせいだ!〉とか、坂本龍一さん(□□□が所属するcommmons主宰)が叩かれることはなかったと思うんですよ。そこがアイドル・レーベルとの違いで(笑)。

「ハハハハハ! だから難しいな……。そう思うとT-Palette Recordsはすごいですよね。続いてるから。嶺脇さんは別として、〈この人がレーベルやってます〉っていうのが前に出ることってそんなにないと思うんですよ。FUJIYAMA PROJECT JAPANでしたっけ? sora tob sakanaの」

sora tob sakanaの2016年作『sora tob sakana』収録曲“夏の扉”
 

――あれも誰がやっているかは前に出してないですもんね。

「それに、こうやってインタヴューしてもらえる機会もそんなにないと思うんですよ、レーベル代表みたいな感じで。そこは変な話、活かせたらなとは思ってます。自分の名前でレーベルを知ってもらえる機会があるんだったら。そこは利点と思ってやっていきたいです。ホントは嫌なんですけどね、自分の話とかするのは」

――イヴェントでも〈僕の話とかみんな興味ないから〉って毎回言うじゃないですか。でも、これからは宣伝のためと割り切っていろいろ言っていかなきゃいけない。

「そこはがんばらないとなと思って」

――今日もお父さんの話から始まることでネットでも閲覧数が確実に増えたりするはずだから、そこは割り切ったほうがいいですよ。

「そうですね。だからホントは嫌だし誰も興味ないと思うんですけど、あんまりないことだとは思うから、出ていこうかなとは思ってます」

――ザックリまとめると、〈いい音楽を広めるために、あえて叩かれる覚悟で立ち上がりました〉ってことでいいんですよね?

「ホントそうです。ハコムスとRYUTistとPeach〜が広がるんだったら、それくらいいいかなっていうのはあります。逆に利用してほしいなと思うし。さっき利益が減っちゃうって話になりましたけど、倍以上売れば利益もそれだけ増えるわけですから。増やしていきたいなと思いますし」

――この先、〈Tパレ感謝祭〉の司会に南波さんも加わる感じになるんですかね?

「加わりたくはないですよ! だって、そんなにいっぱいいてもゴチャゴチャするだけじゃないですか(笑)」

――毎年、司会やっててボクも不思議に思うんですよ。Tパレ立ち上げ会見の司会がボクだったから恒例になっているだけで、〈三十六房〉的に考えても嶺脇社長と南波さんが司会したほうがしっくりくるんじゃないかなって」

「ずっとそうじゃないですか、原宿アストロホールからずっと豪さんと嶺脇さんできてるんで、そこはやっていただいて」

――でも、レーベル代表としてはああいう場にも関わらざるを得なくなるじゃないですか?

「えぇーっ? 僕は横で観てますよ。NegiccoとRYUTist、アイドルネッサンスとハコムスがバチバチするのをニタニタして(笑)。キャラ的には特にバチバチしない可能性が高いですけど(笑)」

――現状ではこの3組をなんとかしなきゃって状況だから、所属グループを増やそうとかっていう発想はまだないですよね。

「まったくないですね。〈レーベルに入れてくれって言われるよ〉とか嶺脇さんに言われたんですけど、いまのところ二丁ハロにしか言われてないです(笑)。〈こんなに南波さんやハコムスと関係あるグループは私たちしかいないから、必然性しかない!〉とか説得されて。俺も二つ返事で〈いいよ〉とは言ってるんですけど」

――言ってるんですか(笑)。

「言ってますよ。でも、なかなか3組で手一杯ではありますから。誰か来るのかなあ?」

――いい感じになったらってことでしょうね。とにかく、これで信用を失うことになったらヤバイし、相当覚悟決めなきゃいけないですよ。本業にも影響する可能性ありますからね。

「ホントそうですね……でも、〈三十六房〉を始めるときもそういう気持ちではあったんですよ。だから1コ1コそういうリミッターを外しているというか、一歩一歩踏み入れてる気持ちはあって。ライターとしてアイドルばっかりやるようになったときもそういう気持ちだったし。だからいいんじゃないかな」

――人の人生を変えるかもしれない活動って、プレッシャーはあるけど、すごくやりがいもありますからね。

「ホントそうですね。実際、小池美由ちゃんとか見てても、そういうのに関われたっていうのは良かったなと思うし」

小池美由の2015年のシングル“泣き虫Princess”
 

――ブレイクになるきっかけを作ったというか、「ゴッドタン」に見つかるきっかけを作って。

「光栄ですよね。そこは責任が重かったりもしますけど、なんだかんだ楽しいので」

――この先、南波さんがどういう叩かれ方をするようになるのかにも注目ですよ(笑)。

「どうなるんですかね。売れても売れなくても叩かれそうだからなぁ……」

――そういう役割だと思うしかないですよ。

「そうですね。ハコムスって基本、女優業がメインだから卒業/加入ってこれからもいっぱいあると思うんですよ。それでなんか言われたりもするのかな」

――ヲタとしても〈俺たちのものでいてほしいのに、物販でがっつきづらくなるじゃねえか!〉って想いもまずあるだろうし。

「ああ、大きくなったら変化はあるでしょうね。でも、それこそRYUTistとハコムスでイヴェントをやって、この組み合わせいいじゃんってなってもらえたりもするから、そういうことをきっちりやっていくしかないと思ってるんですけど」

――地道に信用を得られるようにしていくしかない立場ですよね。

「そうなんですよね。だから記念撮影とかも避けていかないといけないんですよね。こっち的には〈記念撮影に入ってください〉って言われた一枚でも、ファンからしたらいくらお金を積んでもできないことだったりしますからね」

――〈おまえ、なんで無銭でやってるんだ!〉みたいな。

「そうそうそう(笑)」

――それはボクもよく思いますよ。こっちから〈写真を撮りましょう〉って言ったことないのにっていう。

「そうそうそう! ただの記念写真の一枚なのに。それ以上でも以下でもないんだけど。例えば、〈TIF〉である女の子が水着でチェキやってたんですよ。たまたま通りかかって運営の人に声かけられて、〈南波さん、こいつ水着だからチェキ撮りましょうよ〉みたいに言われて、〈嫌ですよ〉って言ったんだけど流れで撮ることになって、お金も払ったんですけど、すごい列が出来てて、全部終わったあとに撮ったんですよ。だから〈鍵閉めを南波さんが持ってった〉って言われて」

――お金を払ったことで、むしろ同じ立場になっちゃったんでしょうね。

「難しいですよね。仕事とか態度で示していくしかないじゃないですか。ハコムスやRYUTistって大事にしたいと思っている人が多いから難しいです……ヤバイ、こんな話しかできない!」

――でも、覚悟は伝わりましたよ。大変だけどやりがいがあるってことですよね。

「ホントそうです、そこです!」

――怒られないようにまとめますよ。

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