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まだまだ終わらない! 名曲揃いなロッドの仕事歴 Pt.2

HEATWAVE Candles Epic(1981)

後にコモドアーズに加入するJD・ニコラスが加わった4作目。交通事故から再起したジョニー・ワイルダーが制作に関わった初の米国録音盤で、出向いたのは半数以上の楽曲を提供した元メンバーのロッドが拠点を置くLAだった。同時期のマイケル、ブラジョン、ベンソンを思わせる滑らかでポップな曲が並び、ロッドがクインシーの下で学んだ作法を古巣に還元したような内容となっている。 *林

 

ARETHA FRANKLIN Love All The Hurt Away Arista(1981)

ジョージ・ベンソンとデュエットした表題曲で知られるアリフ・マーディン制作盤だが、ロッドは“Living In The Street”を提供。リズムとバック・ヴォーカルのアレンジに加えてジェリー・ヘイと共同でブラスと弦のアレンジも手掛け、EW&Fのようなスケールの大きいファンキー&タイトなアップに仕上げている。Q軍団+西海岸の精鋭による演奏をバックに歌うアレサが実に優雅。 *林

 

DONNA SUMMER Donna Summer Geffen(1982)

クインシー制作で、ロッドが数曲でアレンジ/ソングライティングに関与したディスコ女王のアルバム。ミュンヘン・サウンドからLAアーバンなポップ・ソウルにシフトした快作で、“Love Is In Control(Finger On The Trigger)”など、ハワード・ヒューイットらと声を交えるコーラスも含めてマイケル『Off The Wall』以降を完全に意識。“Livin' In America”には『Thriller』の片鱗も窺える。 *林

 

MICHAEL JACKSON Thriller Epic(1982)

“Boogie Nights”に未来的なシンセ・フレーズを加えて進化させたような表題曲を含め、ロッドは3曲を書き下ろしてアレンジにも参加。なかでも“Baby Be Mine”はこの時代ならではの青くしなやかなマイケルを象徴する佳曲で、コーラスが折り重なっていく後半のロッド作法も絶品だ。ネタ人気の高いスロウ“The Lady In My Life”も抑制の効いた美メロとマチュアな意匠の余韻が凄まじい。 *出嶌

 

HEATWAVE Current Epic(Epic)

バリー・ブルーが制作に返り咲いた古巣のエピック最終作でもロッドは5曲を提供。“Lettin' It Loose”などのダンサブルなナンバーは〈マイケル以降〉感が強いが、同年にロッドと組んでアルバムを作ったハービー・ハンコックがシンセ・ソロを披露する“The Big Guns”ではEW&F風のスキャットも交えて新たな側面も見せる。初期のバラードを思わせる甘美な“Look After Love”も名曲だ。 *林

 

HERBIE HANCOCK Lite Me Up Columbia(1982)

革新的な『Future Shock』(83年)前夜の一枚ゆえに、ハービー史上において影は薄めながら、クインシー抜きでQ軍団の腕利きたちを8曲中6曲で丸ごとリクルートした野心作という点では外せない。当然その核になったのはソングライトとリズム・アレンジを担ったロッドで、主役のロボ声ともマッチしたフュージョン・ディスコ“Gettin' To The Good Part”などはこの時代らしい軽さが快い。 *出嶌

 

JAMES INGRAM It's Your Night Qwest(1983)

クインシー軍団のシンガーとして関連作に参加していた男のデビュー作。ロッドはシェレール“Saturday Love”にヒントを与えてしまったようなマイケル・マクドナルドとのデュエット“Yah Mo B There”でペンを交え、一方でビッグバンド・ジャズのサウンドをモダンにしたようなアップ“One More Rhythm”を単独で書いて多彩なセンスを見せつけた。表題曲のアレンジも担当。 *林

 

SIEDAH GARRETT Kiss Of Life Qwest(1988)

クインシーの秘蔵っ子であり、“Man In The Mirror”の作者としても知られる才女のソロ・デビュー作を、ロッドはディック・ルドルフと共に全面プロデュース。もともと彼女の声質や唱法がマイケルに似ているため、ロッドらしいメロディーラインの“Groove Of Midnight”や“Baby's Got It Bad”あたりは実にスリリングというか『Thriller』的。これまた入手困難なのでリイシューを待ちたい。 *出嶌

 

QUINCY JONES Back On The Block Qwest(1989)

豪華ゲスト参加の大作にロッドはアソシエイト・プロデューサーとして関与。ビバップからヒップホップまでの時代を繋ぐというアルバムのテーマを集約したラップ・ソングの表題曲、スロウ・ジャムの傑作“The Secret Garden(Sweet Seduction Suite)”ではペンも交えており、特に後者でのヴォーカル・アレンジを含めた繊細な技法にロッドの非凡なセンスを見る思いだ。 *林

 

QUINCY JONES Q's Jook Joint Qwest(1995)

『Back On The Block』同様の世代越境オールスターズ大作だ。自身絡みの名曲カヴァーも並ぶなか、童顔らの歌う“Slow Jams”を書き下ろしたロッドは、R・ケリーらの集った“Heaven's Girl”のアレンジにも寄与。そして、ロッドが書いたミーシャ・パリスの情熱的なスロウ“You Put A Move On My Heart”(92年)をそのまま採用したタミアの熱演は、彼にとって最後の大ヒットとなった。 *出嶌