かつて尾崎豊らを手掛けた名プロデューサーの須藤晃が主役の天才のすべてを引き出したとんでもない新作。70年代フォーク・ロック風のサウンドとメロディーは耳に心地良いが、10分前後の大曲“溺れかけた魚”“謝肉祭”を筆頭に、愛、不安、夢、コンプレックスなどの私的なテーマをシュールでイメージ豊かな言葉に変換する鮮やかな手腕は、まるで若き日のボブ・ディラン。繊細さも激情も自由自在、歌の巧さも再確認した。